教育福島0009号(1976年(S51)02月)-015page
きや、技術の抵抗をつかみ、一人一人の学習に即して適切な指導助言を与えるため、表現の特質や、技術指導のあり方等について研究を深める。
(四) 児童の見方、感じ方、表現のしかたをたいせつにし、教師の主観を押しつけたり、作品効果のみを追ったりする指導にならないよう、常に教科のねらいを確かめながら、指導を進める。
(五) 表現学習を効果的に積み上げていくためには、適切な評価が行われることが重要である。ともすると、完成した作品の評価のみになりがちなことを反省し、学習のまとめとしての作品の評価とともに、学習課程における評価、また製作者の意図等についても、じゅうぶん配慮した評価ができるようにする必要がある。
三、 施設設備を計画的に充実しその活用について努力する。
(一) 各題材の指導が、いっそう効果的に進められるよう、施設・設備を計画的に充実するとともに、既有の施設・設備の活用について検討する。
中学校
中学校教育における美術科の役割を更に掘り下げ、生徒に、より美しいもの、より価値あるものを体験的、統合的な学習を通して感じ取らせ、追究させることによって、豊かな感受性と創造性を育てるという人間形成にとっての重要な役割を認識し、教師の創意を生かしながら、適切な指導が進められるよう努力する。
一、教科のねらい、内容を的確に押さえ、指導計画を整備する。
(一) 指導計画を再検討し、各領域が調和をもって編成されているかどうかを検討する。
(二) 各領域で取り上げられている題材が、それぞれの地域、学校、生活にとって最適の条件が押さえられ組識されているかどうかを検討する。
(三) 小学校の図画工作科指導計画との関連を検討し、小・中一貫の指導の立場から断層が生じたり、不必要な重複が生ずることなどのないよう留意する。
二、効率の高い授業が展開されるようにする。
(一) 教材研究を深め、関連の深い題材については、その内容を整理し、重点の置き方に工夫を加えて、効率の高い授業が展開できるようにする。
(二) それぞれの題材に配当された、指導時数を検討し、全体として、バランスのとれた指導に努め、教師の趣味や、得意領域によって指導に深浅が生じることなどのないようにする。
(三) 絵画領域の指導に当たっては、青年前期の心理的発達段階の特質を考慮し、生徒の実態をしっかり捕らえ知性に支えられ、情感のあふれた明るい表現活動へと発展するよう特に留意する。
(四) 工芸とデザインの関連をじゅうぶん検討し、統合的な指導内容、方法を取り上げるとともに、材料選択等については、特に地域性を考慮する。
(五) デザイン領域の指導においては、適応表現としての条件を、学年段階にそって的確に押さえた指導が重要であり、基礎能力を養うための内容が類型的な扱いにならないように努める。
(六) 中学生の段階では、美術学習における知的な面の理解も急速に伸びる時期であることを理解して指導に当たる。
(七) 知性の発達に伴い、表現活動に抵抗を感じ始める。中学生にとって鑑賞学習は極めて重要である。適切な資料を提示し、生徒の感受性をたいせつにして、鑑賞能力・態度を育てるようにする。
(八) 内容豊かな表現をさせるため、感受の段階をたいせつにした指導の工夫が必要である。
(九) 学習の結果を確実に積み上げていくためには、適切な評価が重要である。作品の評価のみに偏することなく学習の過程における評価も有効に組立てられる必要がある。
三、施設設備の充実とその活用を図る。
(一) 美術科の各領域の指導が効果的に進められるためには、適切な施設・設備の充実が不可欠の要件である。特に工芸の領域に関しては、今後更に整備を必要とする面があるので計画的な整備充実が望まれる。
なお、技術・家庭科等他教科との関連を重視する。
(二) 材料・用具の購入準備等については、学校全体の計画に基づいて検討し、教科の独走にならないよう配慮する。
(三) 鑑賞資料の整備については、市販の資料とともに、ポスター、カレンダー等の利用等についても工夫する。
(四) 自作スライド、TP等は、美術科として活用の余地が多く、工夫して整備に努める。
(五) 教材・教具の整備、保管、活用については、生徒の利用も含め、より効果的な方法を工夫する必要がある。