教育福島0009号(1976年(S51)02月)-016page
家庭
技術・家庭
小学校
家庭科の目標は、「日常生活に必要な衣食住に関する初歩的、基礎的な知識や技術を習得し、その過程を通して家庭の一員として、よりよい家庭生活をしょうとする実践的な態度を育成する」ことにある。ややもすると、この教科は、知識・技術の習得のみが主たる目標のように考えられがちであるが人間生活の基盤としての家庭生活のあり方、営み方を学習させるところに目標がある。また、人間の生活のしかたを学習するこの教科は、児童の人間形成に果たす役割も大きいので、教科の本質をじゅうぶんは握するとともに次の諸点に留意して指導する。
一、 「家庭」の領域を基盤として「被服」「食物」「すまい」の領域が総合的に学習できるように指導計画を改善する。
(一) 学習指導要領・小学校指導書家庭編(文部省)や教科書等の研究を深め、各領域の目標をは握し、また、児童の能力、興味、経験、学校や地域の実態を分析し、各領域の指導の目標を明確かつ具体的にする。
(二) 各領域の関連を分析し、題材の配列、時数の配当等を適切なものとし各領域の関連を図り総合的に学習できるように配慮する。
(三) 指導内容の系統化、構造化を図りまた、目標や児童の実態に応じて、内容の重点化を図る。
(四) 授業実施後の反省をし、領域や題材の配列、指導時数の配当などより適切なものに改善していく。
二、家庭科の目標と消費者教育の関連を明確にする。
(一) 各領域・題材と消費者教育の関連を明確にし、指導計画に位置づける。
(二) 各題材の指導に当たっては、消費者教育としての立場を重視し、物を大切にする心、物資を有効に活用する態度を育成するよう配慮する。
(三) 家庭、あるいは社会の一員としての正しい消費態度を育成する。
三、実践的態度を育成するための指導法について工夫する。
(一) 児童が主体的に学習に取り組むよう指導法を改善する。
○ 児童の反応や思考過程を重視した教師の働きかけや、資料の提示等を工夫する。
○ いっせい指導に偏することなく内容に応じていろいろの指導法、指導形態を工夫する。
○ 観察、実験、実習による指導の充実と教育機器の活用を図り、体験的な学習のできる場を工夫する。
○ 児童が見通しを持って学習できるよう工夫する。
(二) 学習の評価が適切に行われるようにする。
○ 適切な評価ができるよう目標が具体化されているか検討する。
○ 授業の流れの中でも適切な評価が行われるよう、その観点や場面方法など指導過程に位置づける。
○ 児童の自己評価・相互評価についても工夫し、児童自らが問題点に気づき、学習の改善に役だてるようにする。
(三) 全職員や保護者の積極的な理解と協力を得るようにする。
○ 学級担任と家庭科担当教員との連絡を密にし、学習事項の実践化について協力を得るようにする。
○ 校内研究の対象教科に取り上げ家庭科の重要性について、全職員や保護者の理解を得、積極的な協力を得るようにする。
四、施設・設備を計画的に整備し、その活用を図る。
(一) 資料、教具の整備に努め、その効果的な活用を工夫する。
○ 資料等は教師の共同作業によって作成するのが望ましい。
○ 観察、実習等の学習が効果的にできるよう常に実験器具等の整備に努め、活用を図る。
○ 学習が安全、衛生的で、しかも能率的に進められるよう学習環境の整備充実に努める。
(二) 学校の実態に即して、必要な施設設備の年次計画案を立て、整備充実に努める。
○ 小学校家庭科に関する教材基準を参考にして、実態との比較から改善充実を図る。
○ 家庭科教室の確保に努めるとともに、一室で全領域の学習ができるよう、機能的な施設設備の整備について工夫する。
中学校
技術・家庭科教育のねらいは「技術と生活とのかかわり合いを正しく理解し、生活の見方や考え方、更に行動のしかたを技術の習得を通して身につけ家庭生活及び社会生活を物心両面において充実発展させるために必要な工夫創造の能力や実践的な態度を養う」ことにある。
このために、次の点に留意し、適切な指導をする必要がある。