教育福島0010号(1976年(S51)04月)-022page
(3) ふじゅうぶんな文化施設の整備
文化施設として、一応整備されているものとして福島市に県文化センターがあり、県民の文化関係の連絡及び情報の中枢的役割をもちながら、自主事業として、各種舞台・音楽等の芸術の紹介、文化講座・展覧会等の事業を行っている。利用者は前年より一五%増加しており、総行事二千三百二十一件となっている。
市町村における文化施設としては、文化会館・公民館・博物館・図書館などがあるが、必ずしもじゅうぶんな数とはい、えず、今後は、各市及び広域市町村圏ごとに、ホール、展示室、博物館等を含む文化施設について、人口、交通等を考慮し、適切な配置計画により、その整備を進める必要があろう。(表−39)
特に文化会館は、通例市町村長部局が管理し、自主的な文化事業が少なく貸ホール的な運営が多く、今後は、文化施設自体の自主事業等による積極的な運営が期待される。
(4) 強化がのぞまれる文化財の保護
本県所在の指定文化財は八百五十五件(昭四十九・四現在)にのぼっており、現在国・県から保存・管理・活用のための各種の助成がある。しかし、制度面からも予算面からも管理者や関係者から満足されていない面もあるので、管理者(団体)等の経済力をじゅうぶん考慮し、弾力的施策の検討も必要であろう。
近年、地域開発の影響によって、明治洋風建築や生活の近代化に伴い古民家が急速に姿を消しているので、この保存も課題である。
また、民俗文化財はその性格上、資料の散逸の速度が早いので、現在その保存は容易ではないが、テープ採譜、フィルムなどの利用によって保存を図るとともに、後継者等の養成に努めている。
(5) 不足している文化財活用の施設
文化財公開専用の施設としては、県文化センター内の歴史資料館ほか、わずか八館を数えるのみである。(表−39)
このほか、市町村にあっては、公民館資料室などが利用されているにすぎないので、今後、無形民俗文化財を含めた積極的な公開事業の推進と、公開施設の整備を図る必要があろう。
図−32年別・部門別文化団体の割合
(備考)
1、「文化課調べ」(昭50・3)による。
2、図中の( )内の数は団体数である。
表−38文化施設の状況 (単位:館)
(備考)
1、「社会教育施設調査」(昭48)による。
2、文化会館は収容定員300名以上のもの。
表−39民俗資料館等の設置状況
(備考)
1、「文化課調べ」(昭50)による。
2、独立館で面積100u以上。
3、収蔵資料500点以上。
4、利用者1000人以上。
図−33埋蔵文化財発掘調査件数の推移
(備考)「文化課調べ」(昭51.4)による。