教育福島0010号(1976年(S51)04月)-034page
わが町の公民館活動
多様な学習機会の提供
田村郡小野町公民館
はじめに
昭和五十年度に「公民館設置・運営の基準」が策定され、ややもすれば、レールのないところを自由に走っている感のある公民館の活動にも、一つの方向づけがなされようとしている。これからは、この「基準」にそって各公民館が活動することが期待されようが、反面、公民館の活動はその特性を生かした特色あるものであることも望まれよう。類型化を求めながら画一化しないという、一見矛盾するごどく見えながら矛盾でないところが、公民館運営の苦労点であり妙味であろう。
そこで、ここでは、わが小野町公民館の運営・活動のうち、特色あると思われるいくつかをとりあげてみることとする。
一、会場提供業務
町内に集会場がきわめて少ない当町では公民館に対する依存度は大きい。五十年度の使用状況をみると回数で千六百六十一回(月平均百三十八回)人数で五万七千四百九十九人(月平均四千七百九十一人)を数える。このうち、主催行事は、百二回(月平均八・五回)六千六百七十三人(月平均五百五十六人)にすぎないから、貸館的な比率が大きい。
貸館的な使われ方が、公民館の第一義的な使命でないことは当然であるが他に施設の少ない当町としては、いたし方ないことである。この特性を生かすため、使用のマナ}を高揚することによって、公共心を向上するという社会教育の一つの課題を重視している。「公民館はうるざいから、あとかたづけをちゃんとやれ。」という話が伝わって来るのを甘んじて受け、町民サービスと公共心の両面の調整・向上とが、職員の留意事項である。
使用者の声をとりあげ、五十年度から、夜の使用時間を夏は十時まで、冬は九時半まで延長し、年末年始を除いて、土曜日の午後も、休日も開館していることを申し添えておく。
二、卓球室の個人利用
当公民館では、施設・設備の上で、元町立産業高校の施設を引き継いでいるという特性がある。その特性の一つを生かして、二部屋に卓球台を入れ、九時5五時まで個人の自由使用に供している。ボールさえ持って来れば、事務室で記帳していつでも使える。生徒数九百余の統合中学校の通学路上にあること、高校−駅の途中にあることによって、午後三時頃から、中・高校生でにぎわう。五十年度の利用者数は四千百五十二人である。使用のマナーではちよいちょい問題があり、職員の気づかいもある。
夏は部活動をやらない生徒、冬は列車・バス待ちの生徒が多い。後述の図書室利用とともに、在学青少年の社会教育とのかかわり合いの点で注目している。
三、図書室利用
当館には、小さな図書室とわずか四千冊程の図書があった。四十九年度県中教育事務所からの指導がきっかけとなって、動きのある図書室経営を心がけた結果、目に見えて利用がふえ、今では、図書室を一室ふやして閲覧室とし、図書数も、五千冊を越した。
五十年度の利用者数は七千六百五十一人(月平均六百三十七人)となり、卓球室利用者を上回わるようになった。そのうち、八○%以上が小・中学生である。小・中学生は午後に集中するの
図書室で読書をする子供たち