教育福島0010号(1976年(S51)04月)-036page
指導資料
−小・中学校−
学校事故防止の徹底
学校事故防止については、日,ころ種々御配慮を願ってきているところであるが、最近の学校事故をみるとき、これまでの常識的判断では予測できない事故が発生し、新たな波紋を投げかけている。
小・中学生の非行は、低年齢化、集団化し、また、中流家庭の子弟にまで広がるなどの傾向がある。それに交通事故の増大、教職員にかかわる事故、学校火災と数多い学校事故の現状にかんがみ、改めて、学校経営全般にわたって検討を加え、教職員の自覚と責任によって、学校事故防止の徹底を期するよう特段の配慮を願うものである。
一、児童生徒の事故防止について
(一)教育活動に変化をもたせるなどの工夫により、児童生徒が安定した学校生活が営めるようにする。
1) 充実した指導活動によって児童生徒に満足感を与え、勇気づける指導を続ける。
2) 自主的活動を積極的にすすめ、行動に責任をもたせる指導を徹底する。
3) 学級集団の中で、役割遂行のできる機会を与え、個々の児童生徒が安定して、明るく伸びることのできるふん囲気づくりに努める。
(二) 校内の生徒指導体制や指導計画を全員によって再検討し、具体的な事故防止策をたて指導に当たる。
1) 生徒指導についての職員協議会をもち、児童生徒のもつ問題点を明らかにし、全職員の共通理解のもとに指導に当たる。
2) 季節・場所に応じて、非行事故・交通事故の発生を予測し、事前に対策をたてて指導に当たる。
(三)児童生徒理解の方法を再検討し
適切な資料のもとに指導を行う。
1) 児童生徒に対する固定観念を排除し、多くの資料に基づいた判断によって指導に当たる。
2) 不良交友等については、その交友関係を明らかにし、個々のケースによって具体策をたてて指導に当たる。
3) 学校・家庭において問題をもつ児童生徒を事前に調査し、ふだんの個別指導を徹底する。
4) 教育相談の機会とその方法に改善を加え、共感的理解を深めて、個々の児童生徒の情緒の安定を図る。
(四) 保護者・地域住民関係諸機関との連携を図り、地域ぐるみで児童生徒の事故防止に努める。
1) 無断欠席・遅刻・早退をした児童生徒については、速やかに保護者との連絡をとり、適切な指導に当たる。
2) 学校と地域住民との連絡会、懇談会を開くなどして、非行防止、交通事故防止の具体策を樹立し、地域への要請と啓発に努める。
3) 児童生徒の隔離された生活をさけ友人関係、持ち物等に細心の注意を払い、つねに親と子の心の交流を図るよう保護者に対して適切な指導に当たる。
4) 非行事故につながるマッチ、シンナーやバイク等のかぎの保管については、機会あることに保護者に注意を喚起する。
二、教職員の事故防止について
(一)交通事故関係
1) 飲酒運転については、教職員相互で留意しあう気風を醸成するとともに、管理職者は、自動車運転教職員に対し、くり返し注意を与える。
懇親会等の往復には、タクシー等の利用を励行する等、その徹底を図る。
2) 飲酒運転のみでなく、他の道交法違反(特に信号無視等)も、重大な事態につながるので、交通法規の遵守については、徹底を図る。
(二) 暴力・体罰等関係
1) 暴力及び体罰等は、人間性否定につながる行為であることを自覚する。
2) とくに、児童生徒への体罰は、懲戒の範ちゅうを越えており、法令(学校教育法第十一条)違反の行為にあたるので絶対に行わない。
(三) 金銭関係
1) 公金等の経理については、定期監査の励行により、事故を防止する。
2) 現金の保管は厳重にして、夜間等は絶対に学校におかないようにする。
(四)その他
1) 新任教員・転入教員等については管理職者はもちろん、学校全体が誠意ある人間関係によって励まし合い、悩みや苦しみ等を理解し解決し合う。
2) 夕刻、暗くなるまでの部活動の指導は、事故発生のもとである。計画的に規則正しい指導に努める。
3) 夜間、自宅等に児童生徒を呼び出すようなことは厳につつしむ。
三、学校火災事故の防止について
1) 木造校舎の防火対策については、特に万全を期する。
2) 退勤前の巡視点検を計画的に厳正に行い、点検等の手ぬきが事故発生につながることのないようにする。
3) 宿日直代行員等の厳正な服務・勤務についてもじゅうぶん配慮する。
4) 査察結果や、防火診断による改善すべき事項は、応急措置をするとともに、とくに電気関係については、重点的に指導する。