教育福島0011号(1976年(S51)06月)-007page

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国語

国語科では、本年度の努力点として

 

国語科では、本年度の努力点として

一、基礎的能力の育成

二、読むこと−とりわけ読書指導の充実

三、作文指導の充実

四、書写指導の充実について小・中学校に共通な四つの柱を立て、さらに、それぞれ小学校・中学校の段階での観点を二〜三項目をあげて、指導の重点を掲げている。

これら四つ(中学校はさらにこの他二つ)の指導の重点は、いずれに軽重をかけるべきかというものではなく、各学校の実情により、努力点を明確にして実践していくべきである。その際指導計画の検討や、毎時の授業充実の視点をより具体的にするために、授業で展開する際の留意点をあげながら考察を加えてみたいと思う。

ここでは、指導の重点の全体には触れられないので、一と二の二つの重点について述べることとした。

なお、ここで割愛せざるを得なかった「作文指導」と「書写指導」についても、指導計画の再検討をし、指導時数の確保や、指導内容を明確にする作業を進める必要があると思われる。

 

一、基礎的能力の育成

 

国語科における基礎的な能力を高めるよう、内容と方法に工夫を凝らし着実に実践する。 (小学校)

 

国語科における基礎的な能力の育成に、いっそう努力する。(中学校)

 

国語科の基礎的能力については、いろいろの考え方があるが、基本的には「聞くこと・話す)と」、「読むこと」「書くこと」、「ことばのきまり等」の四つの領域のそれぞれについて基礎的能力を考えることが妥当であろうが、指導の重点の観点では漢字・語句の指導と聞くこと・話すことの指導に関するものをあげて、努力の方向づけをしている。

ここでは、漢字の指導と小学校低学年で行われるかなの指導とを含めた「文字力の指導」と「聞くこと・話すことの指導」の改善について述べたい。

 

(一) 文字の指導

 

国語科教育において文字力とは、国語を書き表わすのに使用される文字つまり、かたかな・ひらがな・漢字・ローマ字の読み・書きの能力のことである。

この文字力をさらに分析してみると

ア、文字を読み、音声化する力

イ、その文字のもつ意味表象を想起する力

ウ、その文字の字形を再生する力

エ、その文字を正確に書写する力の四つの能力に分けて考えられる。

なお、国語を表記する力には、このほか、

オ、かたかなで書くべき語

カ、ひらがなで書くべき語

キ、かなづかい

ク、送りがな

ケ、句読点

コ、くぎり符号などに関する力が必要であり、これらを、国語表記能力ということができるが、ア〜エは一字一字を正確に読み書きできる力であり文字力といわれている。

ところで、現在の文字や語句の学習は、教材の文章の中に提示され、その教材の指導過程の中で関連的に指導されるようになっている。

このことが、実際の授業では、文章内容の読みとりや、読解技能の指導の陰に隠れてしまって、文字や語句やことばのきまりなど、言語要素の指導が行われにくくしているのではないだろうか。

したがって、かなや漢字の指導に当たっては、学年の指導の基準(指導事項と学年配当漢字)をしっかりとは握し、児童生徒の実態をふまえ、科学的で効果のあがる指導方法を工夫することがたいせつである。

また、この際、書写の指導とも関連づけて、継統的に指導することや、単元や題材及び一時間の指導の中に、指導の内容と場を位置づけておくなどの配慮が必要である。

 

(1) 教材の中での漢字指導読むことの指導については現場ではいろいろな指導過程や方法で行われているが、ここでは、一般的な指導過程の中での漢字指導の場と方法を考察してみたい。

 

A 文章のあらましを読みとる。見とおし読みの過程〉

1)題名について話し合う

2)自由に読む(黙読)

3)指名によって読む(音読)

4)文章のあらましをつかむ

B 文章の構成を読みとる。〈たしかめ読みの過程〉

5)読みとりの観点について話し合う

6)各自、構成をつかむ(個人思考)

7)全体で話し合い、構成をつかむ(集団思考)

C 文章の要旨を読みとる。〈ねらい読みの過程〉

D 整理・練習をする。〈整理練習の過程〉

8)読みとり方について話し合う

9)文字・語句について練習する

10)ことばのきまりについて練習す

 

 

 


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