教育福島0011号(1976年(S51)06月)-008page

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右の過程の中では、1)2)3)7)9)の学習場面が、漢字や語句の指導をする場となる。

1)の場面では、題名を板書し、いっしよに読ませたあと、題名に含まれる漢字と語句の指導をする。必要によっては筆順の指導をしたあと、ノートに題名を書かせる。

2)の場面から教科書の読みに入る。その際、題名の意味をおさえながら歌読させる。新出漢字はあらかじめ小黒板に書き出しておく。また、単元末や教科書巻末の新出漢字表を利用する習慣と態度をつねふだんつけておくことは主体的学習の点からいっても必要なことである。

その間、教師は黒板に新出漢字を改めて板書し、筆順・用法などで特に留・意すべき点を朱書したりしておく。

3)の場面では、段落ごとに、指名によって音読させ、誤読とともに発音の指導に留意する。新出漢字は、一段落を読み終わったところで、「この字はどう読みましたか」と発問して、2)の場面で板書した文字の読みの指導をする。

7)の場面では、漢字の意味を指導することが中心になる。この場合は、読解操作としての漢字一語句一指導であるから、文脈に即した指導が必要である。

9)の場面では、読解活動が終了した後、その教材に出てきた漢字を取り立て指導をするわけで、ここでは、書き方と用法が中心になる。画数を数えながら空書させたり、文字の構成・筆順をはっきりさせて、練習をさせる。

以上、読みの指導過程での漢字指導の場面を考察してきたが、指導の内容としては、まず読める。つまり音声化ができる。次に意味がわかり、字形としても記憶され、習った漢字は語として使いこなせる。ということで、指導の順序や方法は異なり、取り上げ方の濃淡・軽重はあっても必ず取り扱わなければならない指導の内容である。

(2) 興味や意欲を起こさせる漢字・

語句の指導

学習はすべてそうであるが、漢字・語句の学習においても、児童生徒の心理に即して無理なく展開させることが大切である。ただ与えたり、教え込んだりの指導に限らず、児童生徒が自分の力で文脈の中から推測し、辞書で調べ、身につけていくといった体験的・生産的な学習をくり返すことが重要でそういう自主的活動での楽しい学習を工夫していきたいものである。

特に低学年の場合は、文字カードを利用したり、ごっこ遊びを導入したり競争させたりして、学習意欲を高めることが大事である。高学年では、語いの拡充をねらった反対語・対語などの練習や辞書からの字源指導など考えられる。たとえば、

ア 同義語・同類語・反対語・対語の探索、あるいは熟語つくり、部首の同類のものを集める学習。

イ 文字感覚・字形の認知と記憶のための学習

似ている漢字で誤りやすい漢字(字形や適用のし方)や音が同じで意味の違うことばへの注意力を育てるための取り立て指導。

ウ 漢語の構成についての学習

○上の語が下の語を修飾する関係の漢語

○同じ意味の漢字を組み合わせた漢語

○意味の反対の漢字を組み合わせ

た漢語などの学習を組み合わせて行う。なお、漢字の指導に当たっては、次の点に留意し効果をあげるようにする。

ア、読み・書きは同時に学習させる。

イ、できる限り同一文字に接する頻

度を多くする。

備考漢字による繰り下げ指導は

この趣旨から出発したもので、低

学年での学習をふやし、くり返し

学習の機会を多くしたものである。

ウ、個々の漢字の特性に即し、指導

法を工夫する。

○誤読・誤字の傾向を知り、それに対処した指導をする。

○文字によっては、音訓を同時に指導する。

○類字の比較による指導をする。

○字源的方法による指導をする。

(3) 筆順に従って正しく書く指導

筆順の指導は小学校低学年のかなの指導から始めなければならない。

筆順の指導は、単に書く順序を覚えさせるだけの指導ではなく、なぜ筆順が必要なのかをわからせて指導する方が効果が上がる。「正しい筆順で書けば書きやすい。」.「その筆順で書けば字形が正しく書ける。」ということから指導するようにする。

筆順の指導の方法は、児童生徒に注目させておいて板書するのが最も簡単な方法である。また筆順ごとに色を変えて書く方法もある。また、児童生徒に空書させながら書いて見せる方法などが用いられている。また、OHPを活用した指導で効果をあげている例も多い。

筆順の指導としては、筆順の必要を感じさせることのほか、筆順の原則というものを身につけさせることが必要である。

個々の文字の数や類型がある程度たまったら、その中の共通なところを抽象して原則として身につける指導をどの学年でも考慮したい。

(二) 聞くこと・話すことの指導

「聞くこと・話すこと」の指導内容は発表・報告・説明の独話の領域と、話し合い・討議・会議などの対話の領域との二つに分けられる。

教材化や系統的指導、そして、場の設定のむずかしさなどから、対話の領域の指導がじゅうぶん成果が上がって

 

 

 


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