教育福島0011号(1976年(S51)06月)-011page

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社会

一、基礎的能力育成の必要性

 

一、基礎的能力育成の必要性

 

社会科では、本年度小・中学校を通して、基礎的能力の育成を指導の重点として取りあげた。

特に、社会科は、人間の社会を問題とし、複雑化する社会を学習の対象とする教科であるから、単なる知識の記憶に終わってしまっては、社会の本質に迫ることはできない。

現代社会のめざましい発展と変ぼうの中にあって、社会科の課題を考えるとき、学習指導に当たって重点をかけていかなければならないことは、生きてはたらく基本的な知識の理解と、社会事象を的確にとらえ、児童生徒自らの力によって社会事象の意味をは握していく能力を育てていくことである。

学習指導要領においても、能力の育成を図ることを重視し、小学校の目標四では、「…基礎的資料を活用する能力や社会事象を観察したりその意味について考える能力をのばし、正しい社会的判断力の基礎を養う。」と示されており、中学校の目標三においても、「……さまざまな情報に対処し、確実な資料に基づいて公正に判断しようとする態度と、それに必要な能力の基礎をつちかう。」と明確に述べられている。

このように小学校・中学校一貫の立場に立って、能力育成の重要性が強調されている。学習指導に当たっては、このねらいをふまえ、情報処理能力が確実に身につくための指導を発達段階に即応して展開していくことがたいせつである。

 

二、基礎的能力の内容

 

能力のとら、え方にはさまざまな考えがあるが、ここでは、学習指導要領に基づいてとらえてみると次のようにまとめることができる。

基礎的能力

社会事象を観察する力

資料を活用する力

社会事象の意味を考える力

基礎的能力の内容を具体化してみると

(一) 観察力

1) 具体観察力(具体的な個々のものを観察する力)

2) 比較観察力(二つ以上の社会事象を比較してとらえる力)

3) 分布観察力(どこに、何がどのように分布しているかを見る力)

4) 地域観察力(地域のようすを総合的にとらえる力)

(二) 資料活用能力

(1) 資料収集力(目的に応じて必要資料を集める力)

(2) 資料を選択する力(必要な資料を選びだす力)

(3) 資料を解釈する力(具体的に読みとる力・比べて読みとる力・関連づけて読みとる力・傾向を読みとる力・変化を読みとる力)

(4) 資料から結論を見いだす力(答をまとめる力)

(三) 思考力

(1) 比較思考(社会事象の共通点や差異点を考えていく力)

(2) 関連思考(社会事象間のつながりを考えていく力)

(3) 条件思考(社会事象のなりたつている条件を考える力)

(4) 因果思考(社会事象の原因と結果の関係について考える力)

(5) 発展思考(社会事象も発展してきていることをとらえ、よりよい社会のあり方を考える力)

以上の内容をまとめると左図のようになる。

 

三、観察力を育てる指導

 

三、観察力を育てる指導

 

学習の対象となる社会事象を正しく観察し、場所的相違や分布の状態、具体的な事実等を観察し、その特色をは握したり、問題点に気づき、これを基にして学習を深めていくことは、見方考、え方を育てるうえに極めてたいせつなことである。

観察力を育てていくためには、児童生徒の発達段階に応じ学年の重点をおさえて指導に当たることが必要である。

小学校における指導の重点としては

第一学年では、「社会事象を具体的に観察させる」こと。

第二学年では、 「ものごとを比較して観察させる」こと。

第三学年では、 「社会事象を数量的に観察させる」こと。

第四学年では、 「具体的な事実や事象の相互関連を追求させる」こと等である。

中学校の地理的分野では、

「身近な地理的事象を、観察・調査させ、その結果をまとめることによって地域の特色をは握させる」こと。

歴史的分野では、

「歴史的事象のみられる地域の風土や、環境に触れることによって、歴史的景観をは握させる」こと。などをあげることができる。

(一) 観察力を育てる指導の着眼点

児童生徒の学習意欲を高め、実証的な授業を展開していくためには、社会

 

 

 


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