教育福島0011号(1976年(S51)06月)-015page

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算数・数学

そして、この基本的な目標に基づいてねらう能力と態度は、次のことにつきる。

 

数学的な考え方をいっそう伸長させることは、算数・数学教育の基本的な目標である。そして、この基本的な目標に基づいてねらう能力と態度は、次のことにつきる。

小学校においては、

○ 日常の事象を数理的にとらえること

○ 筋道を立てて考えること

○ 統合的・発展的に考察し処理すること中学校においては、

○ 事象を数理的にとらえること

○ 論理的に考えること

○ 統合的・発展的に考察し処理することの能力と態度である。

このような数学的な考え方の伸長に当たって重視しなければならないことは、数学を単に知識として与えるのではなく、新しい問題を見いだしたり、自らの力で解決したり、更には、論理的に考え、統合したり、発展させたりすることによって、数学の基礎的な知識や技能をじゅうぶん身につけさせ、これらの知識や技能が新しい問題解決に生きて働くよう指導することがたいせつである。また、児童生徒にとって、算数・数学の学習が楽しく展開されるよう、教材・教具の研究、学習指導法の改善によって、児童生徒の算数・数学に対する興味・関心や学習意欲を高め、わかりやすい授業を目指して努力することが必要である。

そこで、本県における算数・数学教育において、特に努力しなければならないものとして、新しい問題解決に生きて働くような算数・数学の基礎知識と技能の向上があげられる。特に計算については、機械的な計算技能にとどまることなく、数学的な考え方に立った、思考を伴う計算のしかたを重視して指導することがたいせつである。更には、過密化している学習内容をみたときに、算数・数学の指導体系や各領域の関連をじゅうぶん考慮し、ゆとりのある指導計画に改善したり、個々の内容のねらいや取り扱いの程度を明確に捕え、指導内容の統合を図ったり、教材を精選して指導効果をあげることに努めることが必要である。また、学習は、児童生徒の主体的な活動によってその効果が期待されるものであるから、わかりやすい学習指導への改善を図ったり、学習意欲を高めるなどの工夫によって、児童生徒が楽しく、算数・数学の学習ができるよう進めていくことが望まれるのである。

以上から、来年度の算数・数学教育の重点事項を設定するに当たり、次のような四つの柱を立てた。

○ ゆとりある学習計画

○ ねらいに即した教材の精選

○ 基礎的な知識・技能(特に計算力の向上)

〇 わかりやすい学習指導法

これらの重点事項の四つの柱は、個々ばらばらの形で行われるものではなく、相互補足的な形で互いに結び合った指導がなされなければならないのであって、これなくしては指導効果は期待されないものである。また、考えなければならないことは、これは、本年度の重点事項の四つの柱であって、算数・数学教育のすべてについての指導とか、これのみで数学的な考え方の育成がじゅうぶん成し得るということをいっているのではないので、算数・数学教育目標達成のためには、これらの四つの柱を軸として、当然なすべき事がらについては、よりいっそうの充実を図って指導していくことが必要なのである。

以上、本県における本年度の算数・数学教育の重点事項設定に当たっての基本的な考え方と重点事項の四つの柱について述べてきたが、次ページにあげた具体的な展開例をもとに、またはいくつかの例をとりあげながら、重点事項の特に問題になっているような点について述べることにする。

 

一、算数・数学の指導体系や各領域の関連をじゅうぶん考慮し、ゆとりある指導計画に改著する。

 

(一) 学習しやすい計画の作成に努めること。

学習の主体者は児童生徒であるのでこの主体者である児童生徒の実態に合った、学習しやすい計画の作成が要求されるのは当然である。そのために、自校の算数・数学の児童生徒の実態を、中間・期末テストや日常の学習成果を分析・診断を行い、よく理解し定着している内容、理解がおちこんでいる内容、つまずきを起こしている内容というように正しく捕ら、えることからはじめなければならない。そして、これらの基礎資料をもとにして、じゅうぶんに時間をかけて考えさせる内容、簡単に取り扱ってもよい内容というように、それぞれの内容の取り扱い程度を考えて計画をたてることが必要である。

(二) 時間に余裕を持たせる計画を作成すること。

現在の内容配列の多くは、スパイラル方式によっているが、これも、‘学習内容いかんによって効果が期待されるものであって、すべてのスパイラル方式の採用には問題がある。そのため、算数・数学の指導体系、

 

 

 


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