教育福島0011号(1976年(S51)06月)-018page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

解や経験を得させることが重要なのである。

(三) 集合についての理解をいっそう深めること。

集合の考えは、数学の現代化には欠かすことのできない重要な数学的な考え方の一つである。これが、最近、誤解された受け取り方がなされ数学教育の発展を妨げているむきもあるので、集合についての考えをよく理解し、学習指導に当たることがたいせつである。

例二で取り扱った三角形について考えるとき、この取り扱っている三角形のなかまは、次に示したように数限りないものである。

いて理解させようとするには、集合の考えなくしては理解させ得ないのである。

このように、数多くの三角形があるにもかかわらず、授業では、二−三しか取り扱われていないのが普通である。ときには、一つをもって代表させてしまうような場合もある。 一つをもってすべての三角形について理解させようとするには、集合の考えなくしては理解させ得ないのである。

中学校一年で一元一次方程式を取り扱うが、その解は一般の場合一つしかないのであるから、何も集合など考える必要はないのではないかということも考えられるが、方程式の意味の指導をするとき、文字を変数

と考え、命題関数として変数のとる値により、方程式は真にも偽にもなりうることを具体例を通して指導することがたいへん有効なのは、集合の

考えが取り入れられているからである。

 

三、基礎的な知識・技能、特に計筆力を高め、数学的な考え方を伸ばす指導をいっそう充実する。

 

算数・数学教育の基本的な目標でねらっている数学的な考え方は前述したとおりであるが、更に、学習指導の展開に当たっては具体的に、数学的な考え方がどんなものであるかを明確にしておく必要があろう。

数学的な考え方について、都立研究所の分類がある。その分類の内容をみると、大きく三つに分類している。一つ目は教育目標から、二つ目は、数学の方法から、三つ目は、数学の内容から分類している。特に、二つ目の数学の方法からの分類については、参考になる点が大きいと思われるので次に列挙してみる。

○ 数学のねらいともみられる数学的な考え方

・ 帰納的考え方

・ 逐次近似的考え方

・ 類推的考え方

・ 演えき的考え方

・ 統合的考え方

・ 拡張的考え方

・ 公理的考え方

○ 思考の対象に対する考え方

・ 抽象する考え

・ 数量化したり図形化したりする考え方

・ 記号を用いたり読んだりする考え方

・ 理想化する考え方

・ 単純化する考え方

・ 一般化する考え方

・ 特殊化する考え方

・ 形式化する考え方

以上が、数学的な考え方の方法からの分類である。これらの数学的な考え方は、実際の学習では、錯そうして表れてくる。すなわち、算数・数学の学習指導では、いつも数量や図形の抽象化、単純化、記号化が行われ、また、抽象化、単純化、記号化されたものを使って、帰納的や演えき的な考え方等により学習が進められているのである。

(一) 基礎知識の理解や基礎計算の定着を図ること。

数学的な考え方は基礎知識の理解や基礎計算が充分定着していないと育たない。また、これらの基礎知識や基礎計算も数学的な考え方のうえに定着したものでないといけない。

例えば、2+3=5という計算がわかるということは、文章命題に対して、もっとも単純化された数式命題であるということを知っていることである。だから、この数式からはいろんな命題が推察されるのである。一般の学習では、文章題から式を導き出して、計算をし答えを求めて終わりという過程をとっている。これを更に、求めた式から、いくつかの文章題を作ってみるということがたいせつなのである。このことによって数学的な考えにたった基礎の充実が図られるのである。

次に計算力の問題であるが、電子計算機の出現により、計算は軽く取り扱ってもよいというようなまちがつた考え方がある。過去の算術といわれた時代の機械的な計算指導は当然批判されなければならないが、現代数学が特に重視している数学的な考え方に立った、思考を伴った計算方法までも軽視してはならないのである。基礎計算力は、基礎知識とともに重視されなければならないし、この計算力なくして数学的な考え方は育たないのである。

例えば、一元一次方程式の解法ができなくては、連立方程式も、二次方程式も解けないことからも理解できると思う。また、、九九の暗記は不完全で、六、八を忘れても、六、五三〇を知っていれば、そこから累加して六、八が求められるような方法と計算をじゅうぶん訓練させることが重要である。

統合的な考え方ができるようにすること。

例一に、三角形を台形に統合して

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。