教育福島0011号(1976年(S51)06月)-021page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

間、空間であるが、これらの概念は、それだけ取り出して理解できるものではない。自然の事象と時間や空間を関連づけて考察させることによってはじめて具体的な理解を得させることができる。

ところで、この「(3)地球をとりまく宇宙」の大項目には、ア〜エの四つの中項目があるが、最後の中項目工は、

「太陽放射と地球」になっている。これは、ア〜ウまでの概念とは異なり、太陽放射のエネルギー概念である。ここでは、太陽が高温であって、多量の光のエネルギーを放出していること。地球上のあらゆる生命のエネルギーの源になり、天気現象のエネルギー源であることなどが取り上げられている。

時間・空間の概念に関しては、地球のおかれている宇宙の広大さ(スケール)や地表の変化や生物の進化(歴史性)についての認識が必要であるが、このほかに循環や相対性の認識も必要である。このことについては、中学校指導書理科編二十九〜三十ページの第二の分野目標(3)を読みとってほしい。

このことから,時間・空間の基本概念の育成には、相対性・循環性・スケール・歴史性といった概念の認識が必要であることがわかる。しかし、中項目をみると、歴史性については、ここで関連させる項目はない。これは、第二・三学年の地学的領域の項目と関連する概念である。

以上のように基本的な概念を捕らえ中項目・小項目がどのような結びつきをもつのかを表したのが図1である。この図をもとにして重点化すべき項目は何かを検討してみる。

まず、最初の中項目アの小項目(ア)は月・太陽のいずれもが球形であるが、表面の様子が異なることをあげている。概念からの結びつきをみると、中項目ア〜ウを通して、スケール概念と結び

つくので、この(ア)が重点をおく項目でないことは明らかである。小項目(イ)(ウ)は関連させて取り扱うことになる。ここでは、比例関係と測定値の扱い方が中心となるが深入りはしない。

中項目イの太陽と地球の運動は、相対性・循環性と直接結びつく項目で、この大項目の中で最も重点を置かなければならない項目で、じゅうぶん時間をかけ、相対的な空間のは握や時間・時刻について理解できるようにしなければならない。

中項目ウは、太陽系・銀河系の学習である。空間の概念の育成には必要であるが、具体的な資料に基づく指導展開が困難であるので、あまり深入りできない。

このように学習指導要領の指導内容と基本的概念の結びつきを構造的にあらわしてみることにより、どの内容を重点として取り上げるかが明瞭となってくる。教科書ではむずかしいが、学習指導要領・指導書により、重点を置くべき内容を捕らえることができる。

 

図1 学習指導要領第二分野(3)の項目と基本概念の関連(中学校)

(二) 系統的に内容を捕らえること。

 

(二) 系統的に内容を捕らえること。

前にも述べたように、学習指導要領に示された内容を構造的に捕らえ、むだな重複や、抜け落ちのないよう発展的・系統的に指導を行うことも重点化への道である。

ここでは、小学校の植物に関する内容を取り上げ、系統性という観点からの重点化を試みてみることにする。

植物に関する基本的な事項は何かを捕ら、えるには、各学年の目標(1)の生物に関すること及び指導書十三ページA「生物とその環境」を読みとることが必要である。これによると、1)つくりとはたらき2)成長と繁殖3)環境とのかかわり4)多様性と共通性の四つが取り上げられている。

この四つの基本的事項について、各学年の内容がどのようにかかわっているかを配列してみたのが図2である。この図は、縦にみることにより学年の内容を、横にみることにより内容の発展を捕らえることができ構造的に全体をは握できる。

この図から第2学年の植物に関する内容の重点はどれか検討してみる。

「つくりとはたらき」に関しては、指導内容がないことから、植物を栽培しても、花や葉のつくりは取り上げない。

「成長と繁殖」では、種子から発芽して育つ植物のライフサイクルという概念が重要である。第一学年では、発芽期と開花結実期に焦点をあてて観察

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。