教育福島0011号(1976年(S51)06月)-023page

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「ふしぎだ、どうしてだろう。」という意識を持たせる場の設定の工夫を試みる必要がある。

たとえば、小学校第四学年「かん電池と豆電球」で、通常は二個の乾電池に一個の豆電球をつなぐことからはじまり、明るさから回路に流れる電流の多少について学習している。「いろいろな回路をつくってみよう。」では、問題意識に弱さがあるのではないか。これを「豆電球に乾電池をふやして、もっと明るくしてみよう。」という問題提示ならどうであろう。実際やらせてみると児童は、ほとんど並列つなぎをするようである。しかし、豆電球の明るさは乾電池をふやしても変わらない。自己経験からの判断と現象の矛盾、この意識が問題を捕らえ、この単元の目標である回路と電流についての学習をうながすことになる。

このためには、児童生徒が、事象に対してどのような考え方、反応を示すのかという傾向性を捕らえておくことが必要であり、このような教材なり、提示の方法なりを開発する必要がある。

(三) 探究を自ら試みる場の設定

現在行われている教師主導の、型にはまった探究学習のみでなく、児童生徒自ら問題と取り組み、試行し解決していくという学習の場がなければ、児童生徒を探究学習のねらいに迫らせることはできない。時間が多くかかったり適切な単元や、学習内容の選択等難しい点はあるが、今後大いに研究を進め、年間に何回か児童生徒が自分たちで学習を進めることができる場を設定し、問題に立ち向かわせたいものである。

紙数の関係で、中学校「酸化還元」.の展開例をあげ参考に供する。

「酸素との結びつきの強さ」をテーマにして、最初は教師の指導助言により、どのようにして解決していくかを学習する。まずFe・Mg・Cuを空気中と酸素中で燃焼させ、02との結びつきの序列を推論させる。次にその検証をどのようにするか討議を行い、酸化物から醸素をうばうことができるか(還元)という考えのもとに実験をして確かめる。銅の酸化物を鉄やマグネシウムで還元できることから、推論したことを確かめる。この学習の後、「炭素はMg、Fe・Cuの序列のどこに位置するか、また水素はどうか。」のテーマを設定し炭素については、各自計画をたて学習を進める。水素については、グループ毎に学習を進めさせる。この学習において、教師は、解決の計画に必ず目をとおし、能力の劣る子には援助し励まして、各自に学習を進めさせレポートを提出させる。この場合安全に簡単に実験できる方法が必要である。

◆ 酸化還元の展開例

 

 

 

 

 


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