教育福島0012号(1976年(S51)07月)-008page

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価値観、進路希望などそれぞれ異にし、それらを背景としての諸条件もそれぞれ異にしている。

○ そこで、各々の生徒の個人差にじゅうぶん意を用いることが必要である。

○ また、それぞれの可能性を最大限に伸長・発達を援助することがたいせつである。四 進路指導は、学校教育のすべての場で、組織的・計画的・系統的に行われる教育活動である。

○ 進路指導は、進路指導主事や学級担任のみが、一人で指導に当たればよいというものではない。

○ また、学級指導の限られた時間のみで指導すれば足りるというものでもない。○ すべての教師が教科指導、道徳の指導、特別活動の指導、更には教育課程外の指導など、学校のあらゆる機会や場を通じて行うものである。○ 校内の進路指導組織を確立して校長・教頭・進路指導主事・学級担任、その他の関係教師の役割と職務分担を明らかにし、全校的な協力体制に基づいた進路指導でなければならない。○ また、学校全体及び各学年のねらいを受けて、進路指導の全体計画や必要な個々の計画を立案し、生徒の実態に即した指導を計画的に展開する必要がある。○ 更に、生徒の発達段階・男女差進路希望などに応じて、三か年を見通した一貫性のある発展的な指導が毎学年にわたって実施されなければならない。

(五) 進路指導は、家庭・地域社会・関係機関との連携・協力が特に必要とされる教育活動である。

○ 進路指導においては、生徒個人の希望や興味・関心などが尊重されなければならない。

○ 生徒の将来に期待する父母の考え方や意見に耳を傾ける必要がある。

○ 入学当初から、毎学年進路に関する父母の会、家庭訪問等によって、父母の考えについての理解や父母との連携を深めておくことが肝要である。

○ また、職業安定所や労働基準監督署、小学校や高等学校、各種教育訓練機関等との連携をとることがたいせつである。

 

人生設計の話し合い(西信中)

人生設計の話し合い(西信中)

 

三、進路指導の重点と指導上の留意点

 

(一) 進路指導の重点事項(五十一年度)

1) 進路に関する情報・資料や職業観の育成に役だつ資料の収集・活用を計画的に行い、卒業学年だけでなく在学中を通じ、自己の将来の生活設計として、自己の進路を考えるよう指導する。

2) 中学校の学級指導で行う進路指導は、各学年とも適切な時間を確保し指導する。

3) 進路決定に当たっては、生徒の希望を第一に考え、保護者の意見をじゅうぶん反映させながら学校としての指導を加え、最終的には生徒自身が選択するような過程を重視する。

(二) 進路指導上の留意点

1) 進路決定に当たって、親の希望と教師の指導が不一致の場合もある。特に、進学先の決定に当たっての親と教師が不一致のような場合は、その結果がよくいったとしても、親は満足できず、また、その結果が悪くなったときの教師への不信感は実に大きなものになつてしまう。そこで、親と教師の生徒に対しての進路観は異なっていても、生徒の将来の幸福を願っているのは一つの共通点である。これを解決の糸口として当たるなど、生徒の進路決定についての指導や相談は慎重を期して行うことが重要である。

2) 中学生は自我への目覚め、自分を自覚する年代であるので、学習という経験を通して、大人への世界に目を開かせ、職業観の形成に努力する必要がある。そのため、あやまりのない方向を生徒自身が見つけることができるよう、深さはなくとも、幅の広い、偏りのない職業情報をもとにした指導を行うことに留意する。

3) 進路の選択は、その生徒の能力適性・環境に応じてなされるものであるかち、単なる教師の裁量によって、進路先を振り分けたりして、生徒の運命を左右してはならない。

4) 親の生徒理解への援助指導・生徒の自己理解の援助指導を通して、生徒の進路を第一希望だけに固執するのでなくて、第一希望を第二、第三希望に振り替えることができる余裕のある心を育てていくことに配慮する。

5) テストの回数をいたずらに多くして、生徒をあおりたてたりしないように留意し、それぞれの学年段階に応じて、学業成績、学習能力、人格、興味、適性、価値観などに関する進歩と発達の過程を確

 

 

 


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