教育福島0012号(1976年(S51)07月)-010page

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ための『中間まとめ』の中で「勤労にかかわる体験的学習の機会拡充」が取りあげられているのも、主知主義的な教育内容だけでは達成されない学習目標への接近を指摘したものであろう。

進路にかかわる啓発的経験(例えば職場見学など)を日常の教育活動の中で計画的に実施してゆくことには種々の困難がともなう。しかしながら、生徒会活動・必修クラブ活動

学校行事等における役割分担や活動経験、更には家庭の中の役割、夏・冬の休暇中の諸経験なども、進路指導の面から見直し、生かしてゆく努力が必要であろう。

(四) 進路相談

各学校で実施されているように、進路相談は進路指導の中核をなすものであり、ホームルーム担任が中心となって進めている。

高校生を対象とする意識調査の結果などによると、生徒が相談相手として教師や保護者を選ぶパーセンチージは、一般に高くない。したがって、有効な進路相談を成立させるためには、教師と生徒の間に相互受容的な親和感や信頼関係が生まれるよう日常的な努力が必要である。

学年段階に応じて、定期相談・グループ相談・家庭訪問・呼び出し相談・三者(生徒・担任・保護者一相談など、計画的に実施させることが望ましい。

(五) 進路選択への指導・援助

進級に伴う科目・類型の選択、卒業後の進路決定など、具体的・実際的な指導場面では、生徒の自主的な選択を援助し激励することが、教師のたいせつな役目となってくる。

どのような進路に踏み出すにせよ生徒が自分の進路計画をじゅうぶん検討したうえで納得し、自分の意志で選んだ進路に希望をもって踏み出してゆけるよう、あたたかな配慮が必要である。

進学希望者の場合も、合格だけを目標とさせるのではなしに、将来の職業や本人の能力・適性を自覚させながら、勤労観や勉学観を育ててやることもたいせつである。

(六) 卒業者の追指導

卒業後、就職先で、あるいは進学校で、どのように毎日の生活に立ち向かっているか、どのように自己実現を図りつつあるか、いわゆるアフターケアーの指導援助が、この活動内容である。訪問による方法、招集による方法、文書や電話による方法があるが、就職先や進学校との連携を密にしながら進めることが必要である。

追指導の実施は相当の経費を伴うが、その結果は、今後の進路指導の改善に役立ち、在学生の指導に役立つような資料や新しい情報も得られるので、可能な限り実施することが望ましい。

 

四、お わ り に

 

以上、高等学校における進路指導の位置づけと指導内容について述べた。このほか、校内の組織づくり、年間計画の立て方、評価、中高一貫性、外部機関との協力など、進路指導にかかわる重要課題は多い。

「エリートの時代は去った、始まった就職難時代」という見出しの八段ぬき記事が中央日刊紙にのってから、ほぼ一年になる。事実、昭和四十八年秋石油危機以後の日本経済の冷え込みは高卒者、大卒者に対する需給バランスにも微妙な変化を与えている。景気回復への明るさが増しつつあるものの、かつてのような安易な見通しは許されまい。

現在の高校生が生をうけたのが、高度経済成長期に入ろうとした時期であり、国民所得水準の向上とともに成長してきたことを考えれば、今日以後に待ち受けている諸困難は、まさに「試練」というに値いしよう。このような試練にチャレンジし、自己実現を図るような資質を一人一人の生徒の中に、いかにして形成してゆくか、進路指導によせられる期待はまことに大きい。

 

昭和五十年度卒業生の進路状況(高等学校教育課調べ)

 

一、は じ め に

 

全日制卒業者総数二万三千十八人は前年度に比して百三十五人とわずかながら増加した。進路面で特徴的なことを見るならば、前年度に比して、就職者が四百五十三人減少したことと、各種学校進学者が逆に三百九十三人増加したことがあげられる。

このことは、ここ十数年来の高等教育への進学熱の高まりによる就職率の低下という一本道ではなしに、大学や短大とならんで各種学校への進学者漸増の中に見られるように、進路の多様化傾向がいっそう色濃くなりつつあることを示すものといえよう。このことは、同時に、個々の生徒の能力、適性に応じた、多面的な進路指導が求められているといえよう。

 

二、進学状況について

 

( )内は昨年度

 

(一) 大学進学

全日制の課程卒業者のうち、四〇一%(三九・○%)に当たる九千二百

 

 

 


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