教育福島0012号(1976年(S51)07月)-019page

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一、自己診断……具体的な項目をあげて、チェック方式によりその効果が期待できる。

なお、自己診断の項目については、次のような三つの時期に分けて実施すれば効果的であろう。

(三年生の例)

一学期 人生観・職業観・職業選択の基準

二学期 進路選択の実現一卒業後の進路、選定理由、就職・進学等一

三学期 高校生活の反省と評価、卒業後のプランと課題

二、検査・調査……生徒の全人的様相を客観的には握する場合の有効な資料として、諸検査や調査がなされるが、相互に関連.つけて活用することがたいせつであろう。

観察指導は、学級担任が教科担任の協力を得て、個々の生徒について長期間にわたって観察を行い、観察結果にもとづいて適切な進路指導を行うことがたいせつであり、観察指導の実践に当たっては、まずなんのためにするかということを校内全教師が確認し、共通理解を得ることが必要である。

 

第二分科会

「進路指導主事の役割と協力体制はぃかにあるべきか」

 

(その一)    坂下高等学校

進路指導主事は次のような事項について留意すべきであると考える。

一、進路指導に関する学校の全体計画の立案……これを大別すると、具体的な実施計画と、協力体制確立のための計画に分けられると思う。実施計画については、各学年において、その段階に応じた発達的課題を設け、学級指導を中核とする集団指導計画(ホームルーム年間指導計画)と、生徒個人の個性(能力・適性等)の発達・伸長を援助するための個別指導計画とが、相互に適合するように立案されねばならないであろう。

二、進路情報の収集整理……進路情報とは、生徒の進路意識の変容を促すために必要な知識であり、これには、自己理解・進路理解・啓発的経験による知識情報があり、この知識情報を有効に活用するためには、処理や決心に必要な内容を含んでいることが必要条件である。なお情報の提供に当たっては情報提供を生徒個人に即して個別化していく必要があると考えられる。

三、生徒の進路相談……本校では学年単位で相談週間を設け、学級担任を中心にクラスの全生徒について進路相談を実施しているが、これについて留意すべき事項として、一人一人の生徒の成長・発達を継続的には握できる個人資料を整備すること、及び父母を含めた三者の相談体制を確立することも主事の役割の一つとして必要なことではないかと思う。

四、教職員間の連絡調整及び指導助言……進路指導は単に係だけの努力によってその実をあげることはできない。観察・指導は全校的規模で組織的・計画的に取り組まねばならないとともに、そのための全職員の共通理解を得るため、進路指導に関する校内研修会を充実させ、学校教育に占める進路指導の役割と位置づけを明確にし、学校におけるあらゆる指導の中で触れていくことが必要である。それによって、全職員が進路指導についての理解を深め、さらにそれが共通理解につながることが望ましいと言えよう。そのためにも、担当主事自身が研さんを惜しんではならないと思う。

 

(その二)    湯本高等学校

進路の決定については、本人の意思のほかに、両親や友人の言動により左右されることがあるが、あくまで自分自身の意向によって決められるものであり、自分の適性・能力・興味などを含めて、自分自身で考えさせる必要がある。

進路指導主事は、客観的な立場にたってアドバイスし、また本人の身になって考えてやらなければならない。

そのために、生徒の発達過程を理解し、彼等の職業観が形成される過程でその素材となる具体的な職業認識のために、知識や情報を提供してやれるようにしなければならない。

そのために、次の点について、教師は専門的な立場から組織的・系統的に援助していく必要がある。

一、広い範囲の職業の知識を得る

二、客観的な価値判断の情報

三、先輩の体験の重視

四、テレビ等の情報

五、情報提供の時期に対して発達的な配慮

進路指導がよく実施されるにはどうしたらよいかと言えば、それは協力体制がよく整備されているかということである。

一、進路指導主事の位置づけと機能・年間計画の立案と実施

二、生徒理解に必要な資料・進路情報の収集とその活用

三、進路相談の計画と運営・進路先決定についての援助

四、担任教師及び全職員の協力援助

五、進路指導の評価と改善、卒業生に対する追指導

六、家庭・地域社会との協力・連けいなどがあげられる。未知な社会へのあこがれ、希望と不安の入り交じった複雑な心境の生徒たちへ最大限のアドバイスをしてやることができるよう、担任・全教職員、地域・家庭の人たちと密接に連絡をとり、相互協力をしあい研修を深めていくことがたいせつであると思う。

 

 

 


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