教育福島0012号(1976年(S51)07月)-038page
福島県教育センターから
研修レポート
家庭,技術・家庭科
一、はじめに
教育センターにおける家庭、技術・家庭講座は、小・中・高校をとおして9回、それぞれ三泊四日の日程で実施している。その中で、今回は中学校技術・家庭講座を紹介しようと思う。
技術・家庭科のねらいは、「生活に必要な基礎的な技術を習得させ、それをとおして、生活を明るく豊かにするためのくふう創造の能力、実践的な態度を養う」ことであり、応用性、転移性に富んだ学力を要求している。
このねらいを達成させるために、当講座では、豊かな人間性の育成を基礎としながら、科学的根拠に基づく指導法を、実験・実習を中心に研修を進めている。
現代のように情報量が過大になり、しかも新たな未知の知識や情報が不断に現出する時代にあっては、確かな価値ある情報を選択し、主体的にうけとめ、的確な判断ができる力を養いたいものである。そのための方途は、主体的学習をとおして、生徒に「知識・技術の学びとり方」の能力を身につけさせてやることである。「いかに学ぶか」を教えるには、教師は常に学んでいなければならない。
二、研修の状況
(1)食物
食物領域においては、「食品の調理上の性質」及び「食品添加物の検出」を中心に実験・実習している。
このねらいは、食品の調理性の場合は、調理手法とともに調理中に起こる食品の物理的・化学的な変化に目を向けさせ、科学的調理ができるようにするとともに、転移、応用の能力を養うところにある。
上の写真は、ぺーパークロマトグラフィーによる人工着色料の展開をしているところである。清涼飲料や加工食品からとり出した色素が、ろ紙の上にきれいに何色にも分離されて現われ、驚きの声があがる。
K先生は「視覚に訴えることが、理解の最大の近道であることを知りました。」といいながら、台紙に展開後のろ紙を整理して標本を作成していた。
(2)家庭電気
家庭電気の領域では、「電流はどうして流れるか」からはじまり、オームの法則の実験、電気配線、電気機器の安全な使用法を中心に研修している。
どの場合でもそうであるが、各自実際にやってみることを建て前とし、
○抵抗線の長さをかえて、電気抵抗や電流を測定してみよう。
〇一つの負荷を二か所どちらからのスイッチを押してもつくように配線してみよう。
というような調子で実験が進められていく。三人グループで回路をつくるが
(食品添加物の検出実験)