教育福島0013号(1976年(S51)08月)-009page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

入所している児童生徒を対象に、昭和五十年四月から、いわき市立豊間小学校の特殊学級として開設されました。

対象児童生徒は重症心身障害児であるため、指導内容・方法等今後の研究にまつ面が多いので、県立平養護学校に移管されたことは、たいへん意義深いものがあると思われます。

県教育委員会としては、今日までの地域のかたがたの御協力に敬意を表するとともに、その精神を引き継ぎ、いっそうその充実に努めたいと考えております。

 

二、在宅心身障害児巡回訪問指導の実施

 

須賀川養護学校郡山分室開所式

須賀川養護学校郡山分室開所式

 

教育の機会均等の精神を更に推進するために、昭和四十九年度より、在宅心身障害児巡回訪問指導員制度による訪問教育を実施してきております。

これは、心身に障害があるため、就学猶予・免除を受けて在宅している児童生徒に教育の機会を与え、教育的な指導訓練を施すものであります。

この制度も実施後三年目を迎え、教育の重要な一部門として定着をみてきておりますが、今年度は、訪問指導員十名〈別表一〉を委嘱し、四十名の対象児童生徒〈別表二〉を指導してきております。

対象児童生徒のほとんどが重度の心身障害を持っており、徹底した個別指導を実施する必要があります。

そのため指導員は、児童生徒四名に一名を配置し、原則として年間百四十時間(一週二回、一回当たり二時間、年間三十五週実施一の指導を行っています。

指導内容については、一人一人の障害の程度や能力に応じて、指導計画を立てることはもちろんでありますが、その際、養護学校(精神薄弱教育、肢体不自由教育、病弱教育)小学部・中学部学習指導要領に示される「養護・訓練」の内容を特に参考とするとともに、必要に応じて「各教科」等の指導もおり込むようにしています。

この訪問指導については、本県の対象児童生徒の実態を考慮して、今後いっそう発展充実を図らなければなりませんが、全国的にみてもいろいろな面で未開拓の状態にあり、本県としては次のような課題が当面重要視されなければなりません。

○ 専門的知識・技能とすぐれた人格を有する指導員の養成確保。

○ 児童生徒の実態に即応した指導方法・内容の検討。

○ 児童生徒の実態、地域性を考慮した指導形態の確立。

○ 児童生徒をとりまく地域住民並びに家庭等の理解と啓蒙。

 

別表一、昭和五十一年度在宅訪問指導員配置状況

別表二、管内・市町村別対象児童生徒数

別表二、管内・市町村別対象児童生徒数

待ちに待った訪問日

待ちに待った訪問日

 

次に訪問指導を実際に担当している指導員のかたがたの感想を紹介し、皆さんとともにこの教育のたいせっさを認識したいと思います。

 

県北担当 氏家 カツ

“すべての子供に教育の光を”という願いから、訪問指導の種がまかれ、芽が出、育ちつつ、今三年目を迎えました。

その間、私には、Mちゃん、S君Kちゃん、Eちゃん、J君、Sちゃん、R君、丁君との出合いがあり、それぞれの家族を含めたかかわり合いの中で、精いっぱい彼らをみつめともに歩んできました。

初めてこの子等を前にしたとき、そのいたいたしさに身のすくむ思い

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。