教育福島0013号(1976年(S51)08月)-023page

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得て、児童生徒の病状に応じた教育の場を整備する必要がある。

(4) 重症心身障害児施設(国立療養所福島病院、国立翠ケ丘療養所)に入所している学齢児童生徒は、可能な限り教育対象とし、施設内に養護学校の学級を設置し、医療・福祉と緊密な連携を図りながら教育をすすめる体制を確立する必要がある。

(5) 在宅の不就学児に対しては、医療に専念する必要のある児童生徒を除いては、養護学校に就学させるものとし、関係機関と連携をとりながらそのための措置を講ずるとともに、状況によっては、在宅のまま養護学校教員による訪問教育を実施すべきである。

 

3、障害幼児の教育について

 

(1) 障害幼児教育センターを県内数地域に設置し、心身障害児の早期発見早期教育の体制を確立するとともに特に、聴覚障害、言語障害等言語発達にかかわる障害児については教育を早期に実施すべきである。

また、医療・福祉・教育の緊密な連携のもとに障害幼児をもつ両親に対し、系統的・継続的な助言・指導をすすめる必要がある。

(2) 聾学校の幼稚部を拡充するとともに、盲学校・養護学校に幼稚部を設置すべきである。

(3) 幼稚園に心身障害児が就園できるよう条件を整備するとともに、特殊学級の設置を検討する必要がある。

(4) 保育所における心身障害児保育事業の推進を図るよう関係機関に要請する必要がある。

 

4、義務教育以後の教育について

 

(1) 精神薄弱者福祉法、身体障害者福祉法による援護施設及び職業訓練法による職業訓練校との関連において義務教育終了後の教育のあり方を検討すべきである。

(2) 高等学校における心身に障害をもつ生徒の教育を充実するため、高等学校のあり方を検討し、当該生徒の実態に即した教育課程によって、高等学校教育が受けられるように検討すべきである。

(3) 心身に障害をもつ生徒の発達段階に即した教育をすすめるため、中学部・高等部あるいは高等部のみの養護学校設置を検討すべきである。

(4) 心身障害者を一般の成人学級・青年学級等に積極的に参加させる方途を講ずるとともに、必要によっては心身障害者のための青年学級等を開設すべきである。

 

5、教育職員等の養成確保について

 

(1) 心身障害児教育担当教員にすぐれた人材を確保する施策を講ずるとともに、現職教員の資質の向上を図る必要がある。

(2) 養護・訓練担当の専門教員及び介助員等を確保する必要がある。

(3) 心身障害児教育の内容・指導方法等の研究開発、教員の研修機関として特殊教育センターを設置すべきである。

 

以上が公立養護学校適正配置及び関連する諸問題についての施策であるが「後文」には次のようなことが述べられています。

「養護学校の設置については、障害種別や地域等についてじゅうぶん検討して適正な配置をし、その具体的施策を推進するに当たっては、県と市町村が緊密な連携をとってすすめるべきである。

なお、心身障害児教育は、一般社会の理解と認識を得ることが必要であるので、今後とも、いっそう積極的に広報活動をすすめるとともに、幼児や児童生徒の段階から福祉の心を育てる教育をすすめ、社会教育においても心身障害児に関する学習の機会を設け、啓発活動に努力しなければならない。」

 

以上、本県特殊教育の重点施策や現状等について述べましたが、今後養護学校の義務制をひかえ、いっそうの教育条件の整備に努力する必要があります。

しかしながら、特殊教育の推進は、単に学校教育行政の分野のみの努力をもってしては、真の目的を達成することはできません。

県後期中等教育審議会答申の後文にもあるように、一般社会の理解と認識を得ることが必要であり、そのための社会啓発諸活動が必要であることはいうまでもありません。

しかし、心身障害児の保護者、一般社会の人々の理解を得るために、もっとも説得力のあるものは、特殊学級や特殊教育諸学校における教育効果であります。

このことから、学校現場の教育実践を大事にすることが、社会啓発を始め特殊教育の推進に欠かせない要因であります。

 

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福島県教育庁高等学校教育課特殊教育係

〒九六〇 福島市杉妻町二−一六

電話(〇二四五)二一−一一一一(代)

内線三九三三・三九三四

 

 

 


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