教育福島0013号(1976年(S51)08月)-031page

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教育随想

 

学級会でのふれ合い

柏原知加子

在しているので、これを見逃して指導しようとすると失敗することになります。

 

集団生活という特色をもつ学校生活においては、友人や教師との人間的なふれあいから問題がいろいろおこってくるものです。「人間関係」とよばれる力学的ともいえる人間対人間の関係においては、目に見えないある抵抗が存在しているので、これを見逃して指導しようとすると失敗することになります。

現在受け持っている二十六名の児童の中にも、学校生活においていささかの問題行動を示さない子供でも、潜在的には何らかの問題をもっている子供があります。そういう子供たちは、概しておとなしい目立たない子供であるばあいが多いようです。

話し合い活動の場などでは、活動的な子供に主導権を握られ、発言をほとんどしない子供、指名されないとなかなか発言しない子供、自分の言いたいことがはっきり言えない子供、いつも小さな低い声で話す子供などが必ずおりますが、そのまま放置され、置き去りにされてしまうことになりがちです。

私どもにとって、置き去りにされやすい、このような子供に注目し、いかに参加させるかが問題であると考えます。

私はいろいろな話し合いの中で、「すじみちを立てて、よく話し合うことができたね。」

「よい意見だね。」

「きょうはとてもよく発表できたよ。」と成長を全員の前で認めてやり、励まし合いながら、話し合いに参加できるふんい気をつくってやることにしています。「きょうはよくやった。」という充実感や満足感を味わい、更に意欲を向上させることになると思うからです。

私は幸いに学級担任の経歴は四年間持ちあがり、恵まれた環境の中で学級経営を行っている一人の教師です。

今日は土曜日、学級の子供たちにとっては楽しい集会、「たんじょう会」。これまでは「お楽しみ子供会」、「たんじょう会」というと、すぐ娯楽的なものが中心になりがちでしたので、集会活動のあり方について娯楽的なものだけでよいものかどうか、問題をなげかけ、学級会でよく話し合いをさせました。その結果どうしなければならないか、児童全員が理解し合い、集会活動に参加するための基本的な態度ができました。

それぞれの趣味をこらし、色とりどりにかざりつけた教室、この日のために、Yさんのおかあさんからの心づくしのプレゼントのアイスクリーム。なごやかな歓談がはじまる。入学前の写真を手に楽しかったことの思い出。これまでに成長したことの家族の苦労話。姉や兄よりお世話になったこと。いっしょうけんめいに書いたお祝いのことばとプレゼントの交換、にこにこ顔で受け渡し。すべての子供たちが等しく心を結びあい、プレゼントを贈るものも贈られるものも、手をとりあってその喜びをわかち合う子供たち。集団そのもののもつ劇的なシーン。

今後の学級集会については、集会の種目や係、形式など集会についての反応をたしかめ、児童の希望や意見をできるだけ生かし、児童を主体的に活動させる場を多く与えることや、演出の工夫をしたいと思います。

置き去りにされやすい子供たちのために、集会活動をとおして・心のふれあいをだいじにし、社会性や学習経験の異なる一人一人の子供たちに、そのもっている能力に応じて、積極的に参加できるよう力をつけてやりたいと思います。

 

(いわき市立小川小学校教諭)

 

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