教育福島0013号(1976年(S51)08月)-039page
〇 二〜三週間たったら、担任が遊びに出かけること。知的なことにかかわらない。
○ ある朝、担任が予告なしに迎えに行くこと。友だちに誘わせても、親に送らせてもよい。
○ 学校に来るようになったら原因を考えること。学習指導や家庭の養育態度に問題がなかったか考えてみる。
○ 子供たちが相互に相手を尊重し、受けいれる温かな学級を育てること。
(三) 登校拒否児を持つ家庭では、どんなことを考えればよいか。
○ 登校させるための刺激はいっさいやめること。
○ 子供に生活いっさいを任せること
○ 子供への奉仕は、極力おさえること。食事、洗たくのみにとどめる。
○ 子供の忍耐力を育て、自律できるようにくふうすること。
○ 学校側との連絡を断たないようにすること。
○ 友だちとの遊びが最良の薬であること。
○ 小遣いや品物は、日を決めて与えること。
○ よいことやきまりの守れたときはほめてやること。
三、親と子のつながりをたいせつに
登校拒否児の対策指導を考えてきたが、前文の母親の手紙にもみられるとおり、子供が学校に行きたくなかった過去の姿から、生き生きと行動するようになった現実の過程の中で、母親として新しい体験をすることができたといっている。
しかし、母親としてあせりやいらだたしさを感じたり、時には失望感などいろいろな苦しみや悩みを味わったことであろう。
この間、子供に対する養育態度が、愛情を基盤としたものとなり、親と子の心のつながりが強固になって、登校拒否が解決したのではないかと思われる。愛情の豊かなしつけこそ子供の心身を健全にすることを再認識すべきである。
○事例説明
Y君に対する態度について、両親が自己評価をした結果であるが、父親は
◎治療前の登校拒否児の親子関係診断図
2)積極的拒否、3)厳格、9)矛盾の三項目において危険地帯にあり、母親は、1)消極的拒否、2)積極的拒否の二項目において危険地帯にある。両親とも拒否型で、Y君にとっては望ましい態度でなかった。 図において、二〇%から四〇%までは準危険地帯であり、両親の反省を必要とする。
四、学校へのお願い
教育センターでは、登校拒否児の治療に最低三か月の期間が必要と考えている。この三か月という期間は、一見学校の現場から考えて、非常に長いと思われるかも知れない。
しかし、再び登校拒否を起こすことのないように、その子供の人格の変容を図り、親子関係の改善を図るには、この程度の期間が絶対に必要だと考えているので、学校現場からの御理解・御協力をお願いするしだいである。
なお、登校拒否で、教育センターに来談された年度別・学校別件数は次のとおりである。
学校における登校拒否児の予防的な指導が、効果をあげてきた結果登校拒否児の増加の度合が鈍化してきていることは喜ばしい。ただし、最近教育センターに来談する登校拒否児の特徴としては、性格的なものから神経症的な傾向になりつつある。したがって、このような児童生徒の治療には、学校と教育センターとのより緊密な連絡が必要となろう。
年度別登校拒否児童生徒数
福島県教育センター教育相談係
電話福島(〇二四五)五三−三一四一
登校拒否児の遊戯療法