教育福島0014号(1976年(S51)09月)-009page

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図画工作

美術

図画工作・美術科では、今年度の指導の重点として

 

図画工作・美術科では、今年度の指導の重点として

一、教科のねらい、内容を的確には握して指導計画を整備する。

二、教科の本質にそって授業を充実する。

三、施設設備を計画的に充実し、その活用について努力する。

以上三つの柱を立て、小中学校のそれぞれの段階に応ずる観点を取り上げている。これらの重点事項や具体的な観点は、図画工作・美術科の指導効果をあげるためにはじゅうぶんに配慮しなければならないものではあるが、各学校の実態に即して更に努力するものを明確にしていく必要がある。

重点事項の指導計画の整備、授業の充実、施設設備の充実と活用、これらはいずれも改善を要する事項が含まれている。しかし、ここでは「二、教科の本質にそって授業を充実する」に関する内容から主な観点を取り上げ、問題点に対する考察や実践を進めるうえでの手がかりと留意事項を述べることにする。

 

一、教材研究を深め、ねらいにそって内容を整理統合し、重点のおき方に工夫を加える。

 

これは指導計画の改善につながることであり、教材の精選と指導の重点化を図るうえから慎重に検討されなければならない。現行の指導計画を実践してみて、いくつかの問題点が出されている。例えば、

・ 計画されている題材の数が多いため、個々の題材の時間配当が少くなり、表現活動に深まりが乏しい。

・ 計画されている時数に比べて、実施時数が多くかかったり、実施できないでしまう題材もある。

・ 各題材のねらいや学習内容の取り上げ方がら列的で、重点的に扱うものがとらえにくい。

・ 領域内の各題材がどのように関連しているか、その扱い方が明確でない。

などである。そこで、各学校の児童生徒の実態に即して、学年的な発達段階を考慮しながら、教材内容の整理統合を図ることにより、重点的な指導ができるよう改善することが当面の課題といえよう。

図画工作・美術科においては、内容の整理統合のし方に次の二つの方法が考えられる。

(一) 単一の題材について学習内容を整理し、重点のおき方を明確にする。

教材の小さなまとまりが題材であるといわれているように、絵画にしてもデザインにしても造形要素や造形技法などいくつかの学習内容が含まれている。しかし、限られた時間の中で指導の効果をあげるためには、内容事項を整理し、その扱い方に軽重をつけていくことがたいせつである。

例えば、ポスターデザインの指導において、小学校の高学年や中学校ではその指導事項として、

ア 知らせることを考え、新鮮な発想をさせる。

イ 絵や文字の位置と内容を考えて意図を強調する画面構成をさせる。

ウ 目だつ美しい配色をさせる。

エ 効果的な材料、技法の工夫をさせる。

などをあげているのが普通である。しかも、この題材が四時間扱いになっている場合がある。デザインの指導においては、発想の過程が重要であり、その段階に多くの時間を使うことになるので、これだけの内容について要求していくのは、児童生徒の造形能力から考えてむずかしいことである。

そこで、次のように改善するのが適当と思われる。

・ 指導事項のうち、イを重点的に扱うようにする。

・ ウ、エのいずれかを削除する。

・ レタリングは簡便な方法を工夫する。

・ 画用紙は八つ切りを使用する。

(二) 関連する複数の題材について、目標、内容、方法を検討し、題材の統合や重点のおき方を工夫する。

同じ領域の題材がそれぞれ独立して指導が進められるため、それがどのように関連するか、発展的な扱い方をどうするかなどについては、あまり吟味されないことが多い。各題材にはそれぞれ重点的に扱うことが望ましい内容があり、また、題材群の中でも重点的に扱うことが望ましい題材があるので重点のおき方を明確にする必要がある。題材の統合について積極的に検討し、一つの題材に当てる時間を多くして表現活動にじっくり取り組めるような計画が望まれる。

次に、関連する題材の統合のし方の例を示してみる。

これらの整理統合を進めるための手順と主な留意事項は、次のようなことである。

1) 各題材の目標について重みづけをする。

2) 他題材との関連を明確にする。

3) 各題材の基本的事項について重みづけをする。

4) 指導過程を吟味する。

5) 題材内容の整理や関連する題材の統合を図る。

これらの作業を進めるに当たって、実践に基づいて問題点を明確にする必要がある。特に児童生徒の造形能力の実態がは握されなければならない。また、学習指導要領に示されている指導

 

 


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