教育福島0014号(1976年(S51)09月)-019page
の指導に結びつくように改善すること。
−地域の英語に対する意識が生徒の学習意欲や学習態度に大きく影響するし、指導対象の生徒の学力や学習傾向も多様である。したがって、毎年、生徒の能力・適性を適確には握し、改善修正の手が加えられなければならない。
(二) 聞くこと、話すこと、読むこと及び書くことについての調和を保つこと。−外国語科の目標を達成するためには、各学年とも、これらの領域間の調和のとれた指導がたいせつである。このことを指導計画作成の立場にたって考えるならば、年間、学期、月間、週間を通じてこれらの領域の調和を保つことはもちろん、一単位時間においてもまた、できるだけ調和を保つよう配慮しなければならない。さらに、生徒の間にかなりの個人差が現われてくる場合にも、一人一人の生徒に対して調和のある学力を身につけさせるよう計画することに努めなければならない。このような指導計画にもとづく指導こそ、一人一人の生徒の学習を最大にする授業へ結びつぐものである。
二、学習指導法について研究を深め、生徒の言語活動を充実する。
(一) 指導法を考えるに当たっては、生徒の学力の分析と教材の分析とが必要である。その分析を基礎にして一単位時間の目標・内容・方法が確定する。したがって指導過程とか学習活動・言語活動の組みたてには、本来決して固定的なものはないのであって、教材・生徒の力に応じて適宜変えられるべきである。生徒を教師と教材に対する受身の立場にしてしまわないためにも、三者を相互関係でとらえる授業の進め方が大事である。実際の授業に当たっても教師の計画通りに進むとは限らないので、学力差を持つ生徒を指導していく過程において生ずるかも知れない問題を予想し、それに対処する綿密な計画をたてなければならない。
(二) すべての生徒に発表の機会を与え、意欲的に授業に参加させるような指導過程を組織する。そのために次の三つの方法が考えられる。
イ、学級全体の参加
いわゆるいっせい指導である。
短時間で、学級内の全部の生徒を活動させる方法で、下位の生徒でも、個人ではとうてい反応しかねる学習活動を、周囲の者の流れの中で容易にこなすことができるという利点がある。
ロ、個人の参加
指名して参加させる方法である。
この形は個々の生徒に正しい評価がなされるだけに緊張感を伴い、もし、与えられた学習活動を明決に果たすことができれば、生徒は自信をもち、学習意欲もおう盛になってくるものである。
ハ、グループの参加
いっせい指導では多数の生徒を対象とするので、生徒全員が積極的に参加していないきらいがあり生徒個々に即して授業を進めると時間の関係で練習量が少なく効果ある学習指導をさせにくい。それで、グループにわけて指導することも考えてみるとよい。グループの中で助け合いをさせながら学習活動をさせるので、クラスの中に相互援助の精神を培うことにも通ずる。
学習指導法の研究に当たっては、以上の三つの形態が、よくバランスをとって組まれるよう考えることが望ましい。
(三) 聞くこと、話すことの指導については、教師は可能な限り英語を使って、英語学習のふんい気をかもし出すよう努力することが望まれる。
新しい課に入るとき、教科書を開いて、順に読み、訳すというやり方であったら生徒の眼は輝かない。教師も生徒も教科書を閉じたまま、十分程度本時の重要な部分の導入をしょうとするぐらいの努力が必要である。生徒の発達段階・学習の到達度をふまえて導入のための教材の選択・配列・適切な提示の方法などをじゅうぶんに考えた上で臨むと、生徒の認識活動が教材に向って積極的に発動することになる。
(四) 学習効果を促進させ指導の効率化を図るため、教育機器の利用が取りあげられ、その重要性が最近とみに叫ばれて、教育機器はいよいよその使用の度合は高くなるものと考えられる。ここでその活用の留意点を記したい。
○機器の特性、役割を明確にし、最も効果的に活用するための位置づけをする。
○教師の主体的な意図・計画・準備・効果の測定に一貫性をもたせる。
○教材研究の深化、とりわけ指導計画指導案の細案化が図られるようにする。目標を分析し、教材内容に合わせて機器の機能を構造化し、指導過程を組織化し、最適活用を意図的に構成する。
○OHPの利用は、音声による言語活動と、文字による言語活動の双方の要求にこたえなければならない。したがって、投影される映像は、形象映像・文字映像・そしてその中間に位するもの(イントネーション・ストレス・ポーズなど記号によるもの)のいずれにせよ授業のねらいがじゅうぶん達成されるよう工夫配慮しなければならない。
○テープレコーダは英語の音声に親しませ、慣れさせるために、正確な音声をじゅうぶんに聞かせ、よくまねさせ、ひいては習熟させるために利用されるものであり、授業には欠かせないものである。しかしテープレコーダはいっせい指導の場面でより多く活用されるもので、生徒各自の能力に応じたスピードにするわけにはいかない。したがって生徒各自が