教育福島0014号(1976年(S51)09月)-022page
設けて調整を進める方法も考えられる。
クラブ活動の指導は、ややもすると教科指導などより軽く考えたり、学校行事のつごうで削られ、実施回数が少なくなることが多い。クラブ活動の運営を充実させるため、次の点に留意し自発的・自治的活動の助長を図っていきたい。
1) 四月の早い時期から活動を開始できるようにし、時数確保に努める。
2) クラブ活動が、児童生徒によって計画し、実践するようにし向けることがたいせつであり、教師の一方的な指導や指示とならないようにする。
3) クラブ活動と部活動(教育課程外活動)の性格を区別して指導に当たるようにする。
四、学校行事の教育的価値について検討し、内容・方法について自校の創意を生かすように努める。
各学校で行っている学校行事は、よい意味で常例化しているものが多い。しかし、それが形式化してしまい、児童生徒の参加意欲も高まらない場合や単に他校の実施方法を取り入れたものに過ぎない場合もあるので検討が必要とされるものである。
学校行事は「学校が計画し実施する教育活動」ではあるが、活動の主体はあくまで児童生徒にあるといえる。したがって、教育的効果を高めるために「児童生徒をいかにして自発的・積極的な参加を通して、どのように意義のある体験をさせるか」ということが、改善の観点であり、自校の創意を生かした内容・方法が求められるところである。
五、学級指導が教師の説話だけの指導にとどまる二となく、実践と強く結びついた指導となるよう工夫する。
学級指導の内容が多種多様であるため、それぞれの内容によって効果的な指導過程の工夫が期待されるところである。教師の説話が中心となれば、児童生徒が授業に退屈し、学級指導のねらいを達成することが困難なように思われる。
次に、指導過程に即して実践との関連を考えてみる。
1) 導入の段階−問題の意識化・共通化−
・ 学習への動機づけをする。
2) 展開段階の前段−問題の原因、理由の追求は握−
・ 生活現象面の問題を話し合う。
3) 展開段階の後段−問題の解決、対処のし方の追求は握−
・ 話し合いによる追求のほかに、
主題によっては、実際の練習、訓練を加えることが有効である。実践へ直結させるようにする。
4) 終末段階−実践への意欲化−
・ 実践化を図るため、問題への対処のし方を理解させ、心情面へのはたらきをする。
道徳教育
道徳教育では、本年度の努力点として、
一、全体計画の再検討
二、ねらいの明確化と重点的な指導
三、適切な指導過程の組織化
四、効果的な話し合い活動の工夫
の四つをあげ、それぞれについで観点を二〜四項目を付して指導の重点としている。
各学校では、それぞれのおかれている実態・実情により、努力点を更に明確にして道徳教育の充実を図ってほしい。
ここでは、指導の重点の全体については触れられないので、一と二の主として、計画面の二つについて実践上、留意すべきことを述べてみたい。
一、全体計画の再検討
道徳の時間の指導計画や指導方法の研究が進められれば進められるほど、ややもすると道徳の時間の指導だけに重点がおかれ、教育活動全般を通じて行われる道徳教育についての配慮がおろそかにされるという傾向がみられる。
道徳教育は、あくまでも学校におけるすべての教育活動を通して行うことを基本としており、児童生徒の全生活の中で、道徳を内面的に自覚させ、自律的に価値を創造していくような力を育てることが必要である。
このためには、学校における道徳教育の全体的な構想が立てられ、道徳教育に関する一貫した方針が明らかにされて、道徳の時間及び各教科・特別活動並びにその他の教育活動における道徳教育の役割と機能を明確にしておくことが必要である。
すなわち、道徳教育の全体計画を、学校の教育目標実現の観点から再検討し、学校経営の中に正しく位置づけ、それぞれの教育活動が、道徳教育の目標を達成する上で、どのような役割を分担するかを明確にして、学校全体が組織的に、青貝性をもって指導が進められるようにすることがたいせつである。
(一) 学校の教育目標と関連をもっていること。
道徳教育の全体計画は、道徳の時間の指導計画を作成する上の基盤となるばかりでなく、学校の教育活動の全分野での道徳教育を実施していくための基本的な考え方や構想を表したものであり、学校の教育目標と深い関連をもって作成されることが必要である。
(二) 学校の教育課程の全般を見通した上で作成すること。