教育福島0015号(1976年(S51)10月)-006page

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生徒指導上の諸問題

生徒指導上の諸問題

 

一、生徒指導の出発

 

学校では、すべての児童生徒が、それぞれに学校生活に期待とさまざまな充実感をもって生活できるように、最大の努力をつづけている。しかし現実には、勉強嫌い、進学上の悩み、怠学家庭不和などさまざまな要因によって学校生活から逃避しようとしているものの多いことに注意を向けなければならない。

児童生徒が学校生活に不適応現象を起こす理由は、学習についていくことの能力がないということではなく、学習に対する目標を見失ってしまっているからなのである。受験準備、テスト競争についていけずに脱落し、学習に対する興味を失い、無気力、無関心の精神状態に陥ってしまった時、非行に走るケースが多くみられる。また、学業生活以外にも、交友問題、異性問題就職問題等で常に悩みを持ち、両親や教師に打ちあけられずに一人で悩んでいる者が少なくない。表面的には、ドライに割切っているようにみえても、内面は極めて不安定な精神状態におかれて生活しているのである。

すべての生徒は、なんらかの問題を持っている。だからこそ、教師の愛情につつまれた、きびしく、温かい指導が必要とされるのである。

教師のこの自覚が生徒指導の出発点であり、充実した指導を展開していくエネルギーとなるものである。

 

二、生徒指導の考え方

 

生徒指導は、一人一人の生徒のよりよい人格の発達をめざすとともに、学校生活が個人としても、集団としても楽しいもの、意義あるもので、しかも充実したものにすることをねらいとしているものである。児童生徒の非行化に対する治療指導だけとか、日常生活の「しつけ」さえ指導していればじゅうぶんだという考え方だけでは、生徒指導の意義を的確にとらえているとはいえない。

児童生徒に生きる目標を設定し、これを自主的に追求していくことのできる能力、態度、意志力を身につけさせ自己実現を図っていくことのできるための指導・援助をじゅうぶんに行っていくことが、生徒指導の本質といえよう。

次に、生徒指導の意義を考えてみよう。

(一) 生徒指導は、教育的価値追求を直接ねらうものではなく、価値追求のための基盤や条件をつくるものである。

 

 

 


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