教育福島0015号(1976年(S51)10月)-014page
て学級経営に当たりたいものである。
四、校内における教育相談の指導体制
生徒指導の内容を充実してゆくためには管理・訓育的な機能だけでなく、それに並行して「共感的理解」にもとづく受容的・相談的機能が必要であることが指摘されるようになってもり久しい。
実際、教育相談的発想が、校務分掌上の位置づけは別にしても、日常的な営みのなかに生かされ、それを特定の教師たちが行う特定の仕事でなく、全校的なものにするための体制づくりに取り組んでいる学校が多く見られる。
もちろん、教育相談係をおき、相談室が設置されさえずれば、教育相談活動がうまくゆくというものではないが、相談活動を全校的計画のもとに進めるための必要から、漸次、相談係の設置が進んでおり、四十九年度の調査の段階で、すでに県内の高校の約四〇%が「教育相談」の係を置いている、(表1)そして図1・図2に見られるように、校内の分掌組織として生徒指導部のなかに生活指導係、教科外指導係、生徒会係等と並列に位置づけられており、二名ないし四名で構成されている例が多い。なかにはごく少数であるが、独立した課として生徒指導課と並行させて組織をつくっている例も見られる。(図3)
相談係が独立した組織として運営されるのがよいか、それとも生徒指導部のなかの係として位置づけられるのがよいかは、それぞれ長短があり、各校の実情に応じて決定すべきことであろうが、一般的にいって、前者は教師間に学校教育相談についての理解と関心があり、相談担当者にかなりの実績のある場合に多く見られる。後者は相談担当者中心の編成でないため、ともすると、係の意欲や活動が低調になりやすいが、生徒指導の他の部門との連けいが容易で、学校の指導体制のなかでは、無理のない長続きする方法である。
教育相談係は校内で相談活動を推進してゆく上のまとめ役であって、仕事の内容としては、一般的に、1)相談活動に関して、すべての教師、特に生徒指導の第一線の担当者であるホームルーム担任へのサービス。2)相談室の整備及びその管理と運営。3)各種調査・検査の計画立案と、それの実施。4)指導資料の整備・保管と、それの提供。5)外部の関係機関との連絡と、教師、生徒及び保護者への広報。6)ホームルーム担任、教科担任、生徒及び保護者の依頼による直接の面接相談。7)共通理解を深めるための校内相談研修の企画運営等があげられている。
校内の教育相談活動を軌道にのせるには、相談係の資質、技術、熱意に負うところが大きいが、相談係が研修によって得た理論や技術だけで円滑に進めることができるものではない。相談係にとってなによりも大事なことは、校内の他の教師や多くの生徒と、常にしかも継続的な好ましい人間関係を維持することである。さもないと係の個人プレイになり、せっかくの熱意と努力が空転し、周囲の協力が得られず、時には浮き上がったり、独走したりすることがある。相談が生徒指導の分野で他に優先し、相談さえやっておればすべての教育が充実されてしまうような錯覚に陥り、他の教師との間にみぞができてしまうからである。いうまでもなく相談活動は全教師の協力体制ができてはじめて機能的に進められる。なかでもホームルーム担任と養護教諭を抜きにしては相談活動は考えられない。ホームルーム担任はルームの生徒に接する機会が多く、生徒を理解し得る立場にあり、生徒にとっても最も身近かな存在であって、常に生徒の相談相手にならざるを得ない状態におかれ
(表1)「教育相談」の係を設置している学校数(昭49年)
(図1)県北地区A校の組織例
(図2)県北地区B校の組織例
(図3)会津地区C校の組織例