教育福島0015号(1976年(S51)10月)-017page
談の流れは表1のとおりである。なお具体的に留意してきたことは
一年では
・精神と身体の双方のバランスのとれた、健全な生活態度を養い、強じんで継続的な授業中心の、自主的学習の習慣を身につける。
・友人や先生と人間としての幸福な生き方について話し合い、人生観の確立に努め、読書等を通じて幅広い教養を身につけ、人間的成長の努力を重ねる。
・進路についての自分の考えを持つようにする。
二年では
・毎日の授業を最大限に活用し、基礎学力の充実と計画学習の徹底を図り、英数国にその重点をおくようにする。
・生徒会活動、クラブ活動、学校行事などに積極的に参加し、自己形成と正しい人間関係の体得を図る。
・自己の適性・能力を見極め、進路の方向を明確にする。
三年では
・志望学部・学科を早めに決定し、進路の適正な選択をする。
・学習時間の配分など計画学習を徹底し、基礎力を拡充するとともに、総合的学力の養成を図る。
・学習成績と生活態度、並びに精神衛生との関係を重視し、健全な学習生活の中で実力の養成を図る。
(三) 進路相談の事例
「自分はいわゆる進学高校の生徒である。小学校から中学校へ進んだとき中学から高校へ入学したとき、すでに親たちは自分が一流大学へ進学するのを当然のことときめていた。高校の教師も同じであった。………自分がなんのために勉強しているのかわからない。…」これまで何人かの生徒が程度の差こそあれこのような相談を持ちかけてきた。生徒の多くの者がこのようなことを考えたことがあるに違いない。
親なり教師は生徒の将来について幸多かれと願わない者はいない。しかし多感な生徒はしばしば先のようなむなしさ、ざ折感を味わうのではないか。大人の社会で日常性、習慣性として通用しているものの中に虚飾や欺まん、打算を鋭く感じとって悩む若者の姿であろう。
1 進学を希望する理由
本校では全員大学へ進学を希望しており、なぜ大学へ行くのか自分に問うたことはあるはずで、頭の中でだけ考えるのでなく書かせることはたいせつなことかと思う。
(1)教養を身につけ視野の拡大のため
(2)立派な人格の形成のため
(3)高度の知識技術を習得するため
(4)学問研究のため
(5)就職に必要な勉強のため
(6)将来の安定した生活のため
(7)青春を楽しむため
(8)みんなが行くから
(9)家族がすすめるから
(10)特にない
(1)(3)(6)(7)は重複した理由が多い。本来大学は(3)(4)のために設立されたものであるが、最近の大学は目的が多様化した志望者の集まりであり、多目的意味があるのであろうか。
2 進学志望校についてどんな情報に関心が深いか
(1)合格の難易度・競争率
(2)学部・学科の特色
(3)試験科目や出題傾向
(4)学校の所在地
(5)学費・生活費
(6)施設・設備の状況
(7)卒業生の就職状況
(8)スクールカラー
(9)推薦入学の有無
(10)その他
関心の高い順に記したもので、受験生の悩みに直結しており、進路相談の具体的内容を示すものである。
3 進路の選択について
進路の決定は、生徒にとり自分のことであるからと独善的であったり、固定的に考えさせてはならないと思う。それではどんな条件を考えさせたらよいのであろうか
(1) なにが好きか考えよう
自分の興味がどのあたりか、「好き」という事実を基点に考えさせたい。しかし漠然としており、好きなものがはっきりきめられない場合も多い。理科が好きといっても、必ずしも理系ともいいがたい。実験したり調べたりすることが好きか、理論的な面が好きかの違いがあれば、後者は理科系ともいい
表1 「進路相談の流れ」