教育福島0015号(1976年(S51)10月)-020page

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習指導においてはお互いが協力し合い助け合い、そして啓発し合っていくという生徒間の結びつきを授業の中で組織した。これを計画的に実践することが学習不適応生徒対策であるという基盤に立って進めてきた。特に、学習方法訓練の中で示した内容を、それらの生徒一人一人に、学習指導や教育相談のあらゆる機会を通して身につけさせることが、とりわけ重要であると考える。

(四)・点検・指導という活動から「呼びかけ」の指導へ

秩序ある生活習慣の樹立のための意識の高揚と態度の育成を目指し、本校の実態上から「廊下の歩行」「規定の服装」「室内での脱帽」「遅刻の防止」「落ち着いた生活」「戸締り・退校時刻の厳守」を基本的なものとしてとらえ、焦点を合わせ「呼びかけ」の活動を行った。呼びかけ指導以前は遅刻者は連日数名を数え、多い時は三十名を越すこともあったが、呼びかけ指導後は特殊事情の生徒を除き遅刻者はなくなった。廊下の歩行、校内での脱帽に関しても無関心であったが、呼びかけ指導によって正しい歩行や校内脱帽が習慣化されてきた。正しい秩序ある服装についても徹底ざれてきている。退校時刻の守れない生徒や戸締まり不徹底なクラスは、ほとんど見られなくなった。校内での落ち着いた生活については、学級に関する問題でもあり、学級における生活委員の活動にもかかわっていると考えられ、学級間の差も認められるが学級会活動や学級の日の議題として取り上げられ、また教師と生活委員の呼びかけ活動で、より望ましい方向へと変容してきている。

(五) 三者懇談会の実施

親と教師と生徒が、一つの場において相互に交流をもち、あたたかい人間関係を打ち立てると同時に、生徒の望ましい人間形成の一助としたり、親と教師と生徒の、それぞれの立場を理解しあい、親子の断絶、学校と地域との疎遠などの壁を打ち破り、新しい地域づくりと、これから発展する地域づくりについて認識を深めることをねらいとして、三者懇談会を実施した。

実施の方針としては、

○ 親と子それぞれの立場から意見を出し合い、考え合うことを主眼とした

○ 教師は、ある時は親の立場に立ちある時は生徒の思考を発展させる助言者として、また、ある時は教師本来の立場を維持しつつ、会がスムーズに運営されるよう協力する。

○ この会を通じて、礼儀や会議のもち方、正しい言葉づかい、会場の設営や後始末など生徒の基本的生活態度の訓練の場とする。

この三者懇談会の中で、親は子の、教師は親と子の新しい姿をお互いに発見しあい、時には真剣に、時には爆笑を交えつつ和気あいあいのうちに活発な話し合いが行われた。各地区とも多数の参加者から次回の早期開催を督促され、また終了後、各家庭においてその日の話し合いのことが親と子の話題の中心となったことを聞いて、予期以上の成果があると考える。(研究集録「あたたかい人間関係を育てるための生徒指導はどのようにしたらよいか」による)

 

◆ 意欲的な生活態度を育てる生徒指導

岩瀬村立岩瀬中学校

(昭和五十・五十一年度文部省・福島県教育委員会指定)

 

一、研究主題の設定に当たって

 

本校の生徒は、たいへん素直なよい性格をもっているが、反面、消極的、受動的で、自ら進んで学習や作業に取り組む姿勢に欠けているところが目立っている。

このことは、地域的・社会的な要因も大きく原因していると考えられたがややもすると学校の生徒指導が場あたり的な指導であったことも反省し、この脱却を図ることが、一つの生徒指導上の大きな課題としてとらえた。そして、本校でとらえている生徒像にもある「集団のみがき合い」によって、生徒の内なるものの自己開発を援助し、集団の一員としての自覚を高め、自分のなすべきことに責任をもち、進んで実行する生徒を育てることをねらいとして本主題を設定した。

 

二、研究実践の概要

 

(一) 意欲的な生活態度を育てる手だて

意欲的な生活態度を育てるための手だてをとら、えるに当たって、本校の生徒の実態、生徒指導先進校の研究成果や文献研究によって、表に示したように、意欲の条件、教師の立場、生徒の立場の三つの関係を明確にした。そして、これらの関係が密接に保たれた生徒指導を行うことによって、意欲的な生活態度を育てることが期待されるものと考えた。

(二) 発表力を高める方策

生徒の積極的な発表は意欲的な生活態度のあらわれであると考え、発表力を高めることに努力している。

 

教育相談

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