教育福島0015号(1976年(S51)10月)-044page

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福島の文化財

 

県指定重要文化財

木造薬師三尊及び十二神将立像

 

河沼郡会津坂下町大字片門字寺東(長竜寺)

 

像高一メートル三十五センチ、樫の頭部胴部一木造りで、後頭部と背面襟下から地付きまで大きく割り、内ぐりを施して背板をあてる。膝の前部と両袖の部分は別木で、内ぐりを施しはぎ合わせる。頭部には大きな螺髪を植えつけ、面相はややおも長で彫眼、眉、髪(くちひげ)を墨で描き、口唇には朱を入れる。両肩から腹部、両袖、膝部に流れる衣文の彫刻は太く深くて素朴であるが、ある種のたくましさを感じさせる。鎌倉末期の地方作。

脇侍日光・月光は、像高それぞれ一メートル四十六センチ一メートル四十七センチである。中尊同様櫻の一木造りで、両肩からはぎ合わせる。背面は襟元から裾まで内ぐりを施す。面相はともにおも長で彫眼が細く切られ、とくに鼻と口もとにえも言われぬ人間臭いかれんさがにじみ出ているのが特徴である。手法には鎌倉末期から室町初期の特徴が現われている。月光の背面に「延元四年(一三三九)」の墨書銘がありそのことを示しているのは貴重である。

十二神将は、像高いずれも六十五センチ前後で小型ながら写実的であり躍動的である。三尊とはやや趣きを異にするので別人の作と思われる。製作年代は少なくとも南北朝を下ることはない。

 

木像薬師像

木像薬師像

 

十二神将立像の一部

十二神将立像の一部

 

 

 


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