教育福島0016号(1976年(S51)11月)-023page

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幼稚園ではその五四%が頭部・顔面に発生しており、幼児の身体発達が頭がちでからだのバランスを崩しやすく、また倒れたりした場合、支える腕の力も弱いことから顔・頭にけがをしゃすい、ことがわかる。

(5) 死亡の原因

学校の管理下における廃疾・死亡のうち、廃疾は発生の場合その他が負傷に類似しているので省略し、ここでは死亡について昭和五十年度の死因別の状況をみることとする。

すなわち、死因別の状況は表38に示すとおりであるが、ここで目につくことは、、心臓性疾患(急性心不全、心衰弱、狭心症、心臓麻庫など)による死亡が、全死亡九件中、四件を占めていることである。この傾向は全国的に認められ、昭和五十年度における全国の死亡事故においても、表39のとおり心臓性疾患による死亡は、小学校で二九・五%、中学校で四二・○%、高等学校で三八・六%に達し、毎年同じような傾向を示している。

これら心臓性疾患による死亡の発生状況をみると、走運動・水泳・格技等、身体運動が相当に激しく、心臓に負担のかかった場合も多いが、軽度の運動中など一過重な負担がかかったと思われない状態で発生したものも見受けられる。それも平常健康体と考えられ、体育活動などにも普通に参加していた者が突然倒れるというケースが多い。こうした死亡を防ぐことは、もっぱら保健管理の面から考えられなければならないことであろうが、一日も早く有効な対策の樹立が心から望まれるところである。

 

6、本県の災害発生率と全国との比較

 

本県の災害発生率(既述の給付率とは意味が異なり、給付件数から、給付が数か月にわたった場合の継続件数を差引いた実件数を、加入者数で割ったもの)は、二・七二%で全国平均の三・二五%と比較すると低率である。

この災害発生率は、相当の地域差があり、昭和五十年度の府県分布の状況は表40に示すとおりである。

学校安全会の災害共済給付制度が全国同一の基準で行われながら、なぜこのような地域差が生ずるか、その要素として考えられるものの一つは、医療機関の分布である。安全会の給付制度が医療を受けたものを対象とする以上災害が発生してもその地域に医療機関がなければ医療を受けることができず安全会の災害の件数に計上されない。表中○・五〇〜一・○○にある一県は沖縄県であり、医療機関の未整備が大きな原因となってこのような低い数値となっている。また、他の原因として安全教育の充実度・地域の医療思想の普及度・養護教諭の配置等の状況その他が考えられ、これらが複雑に関係して地域差が生ずるものであろう。

ちなみに、本県の一人当たりの平均給付額は五、八五三円で、全国平均の四、四四一円に比し著しく高額であり岩手、山梨、沖縄、北海道に次いで全国第五位である。このことは、本県の災害発生数は他県と比較して、そう多い方ではないが、一件当たりの医療費は高額であり、割合に重い災害が多いことを現しているといえる。

 

(表37)負傷発生の身体の部位の状況 (昭和50年度福島県)

(表38)死因の状況 (昭和50年度福島県)

 

(表38)死因の状況 (昭和50年度福島県)

膜フ死(自動車損保賠償金受領したため,安全会からは生花料のみ給付したもの)

(注)本表に掲げた件数以外に,通学中の交通事故死(自動車損保賠償金受領したため,安全会からは生花料のみ給付したもの)

 

(表39)死亡の死因別の状況 (昭和50年度全国)

(表40)災害発生率の府県分布 (昭和50年度)

 

(表40)災害発生率の府県分布 (昭和50年度)

(注)※は本県該当箇所

(注)※は本県該当箇所

全国順位で本県は第39位である。

 

 

 


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