教育福島0016号(1976年(S51)11月)-044page
福島の文化財
県指定重要有形民俗文化財
伊南川の漁具コレクション
南会津郡南郷村大字界奥会津南郷民俗館
県指定重要有形民俗文化財
伊南川の漁具コレクション
所在地 南会津郡南郷村大字界 字川久保五八二番地 奥会津南郷民俗館
所有者 南郷村教育委員会
伊南川の漁具コレクションは、どう十二・網十一・やす十・かぎ五・針一など直接魚を捕る漁具から、がんどう三・箱めがね三・網すき用具一・はけご三・じゃらっき棒一・たいまつ台一などの用具からなり、合わせて七十二点である。
いずれも明治時代から大正時代に使用したもので、一部昭和に及んでいる。
使用地は伊南川とその支流の舘岩川や桧枝岐川等の流域である。
もと、夏から秋にかけて産卵のために川をのぼってくる鮭・鱒の類を捕るためのものであったが、昭和八年頃、新潟県阿賀川に発電所ができてからは遡上できなくなり、したがって漁法も絶えてしまった。その後はわずかに秋産卵のため下るおち鮎などをとるためのむじり漁法、はや・かじかをとる石ぐら漁法、またはたてどう、横どうなどの方法が伝えられて残っているに過ぎず、伊南川の漁具コレクションは往時の漁法を伝える貴重な存在である。
明治・大正期に使用した伊南川流域の漁具