教育福島0017号(1976年(S51)12月)-039page
ーのない学校では、個人のものを持ち込んで授業をしている状態です。
このように英語教育では、外人吹き込みによる「録音教材」なしには効果的な授業はなりたたないといえます。
2、録音教材作成実習
九月末の研修では、中学校、高等学校の先生がたが、それぞれ二班にわかれて、使用する対象、学年に応じた「録音テープ原稿」を作成し、桜の聖母短大助教授の外人講師に吹き込んでもらいました。
図2のように綿密な計画に従って実際に教材を作成してみるような研修は、全国的にもほとんど手がつけられていないユニークなものです。
完成した各グループの作品を聞き相互に批評し合う中で、「生徒のためには、この場所にもう一度本文を聞かせるようにすればよかった。」とか、「repeat(繰り返し)の場所に、もっとポーズ(間)をおいた方がよかった。」など、生徒の身になって音声教材を考える眼が養われたようです。
参加された先生がたから、この研修をとおして、市販の録音教材の選択眼や、教室で使用するときの配慮アイデアの生かし方などが身についたという声が多く聞かれました。
3、研究協議
この講座でのアンケートや研究協議の中から、機器活用上の問題点をあげ、今後の研修の参考にしたいと思います。
1) 教材準備の時間について
LL教材の準備に時間がかかるが、シート式磁気録音機に比してかからないこと。
2) 教材選択・利用のしかた
・ 生徒の能力に合う教材を選択するための情報や、購入のための英語科の予算が少ないこと。
・ 一般に市販されている録音テープは、教科書と遊離しているので、編集しないと使いにくいこと。
・ 高価な教科書付属テープを購入しても、三年ごとの改訂のため使用できる年数が短いこと。
3) 指導技術について
・ 教材を自作または編集の経験のある先生は五%にすぎないこと。
・ LL調整室(写真)で、実際に操作する研修が必要であること。
英語教育において、機器とは、LL(テープレコーダーもふくめて)とOHPが中心であり、これらの機器についての研修の機会の拡充が望まれています。
四、おわりに
中学校や高等学校低学年でのLL指導、音声指導の強化は、上級学年での「読むこと、書くこと」の力にもよい影響をもたらすといわれています。
毎週一回一時間程度のLL授業に、それほど多くのことは期待できません。しかし、教室での授業でできないことや、やりにくいものをLL室を用いて能率的に行うことを考えたいものです。
また、ランゲージ・ラボラトリー(LL)がない場合には、テープレコーダーを活用して「録音教材」を気軽に使っていく姿勢が必要だと思います。
図2 LL教材の作成手順
LL調整室