教育福島0017号(1976年(S51)12月)-041page

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やさしい教育法令解説

教育課程について

 

一、意義

 

学校の教育活動は、いうまでもなく憲法・教育基本法そして学校教育法等に定められている、教育の目的を達成するために行われる意図的・創造的な作用である。そしてまた、教育課程が学校の教育活動の基礎となることも明白である。

それでは、教育課程の法令上の意義はどのようなものであるか。

教育課程という用語が、法令上最初に現われたのは、昭和二十五年十月九日文部省令第二十八号により一部改正された学校教育法施行規則においてである。それまでは、「課程」とか「学科及其程度」、更には「教科課程」等ということばが用いられていた。ところで学校教育法では、「教科に関する事項」とあり、教育課程ということばはないので、学校教育法上の「教科に関する事項」と同法施行規則上の「教育課程」とは、同一の観念を表わすものかという問題がある。すなわち、教育課程は、教科・道徳・特別活動の三領域から成立するのであるから、「教科に関する事項」より範囲が広いのではないかということである。この点については異論もあるが、同義語であると解されている。

さて教育課程の意義であるが、学校教育法施行規則は、教育課程は教科・道徳・特別活動によって編成すること教科と道徳の授業時数と各学年における総授業時数について定めるほかは学習指導要領によるものとしている。学習指導要領では、各教科・道徳・特別活動の目標、内容、内容の取り扱い等について定められている。これらのことから、教育課程とは、「各教科・道徳および特別活動について、学年に応じ、これらの目標、内容および授業時数を総合的に組織した学校の教育の計画である」と定義される。

 

二、編成権者

 

それでは、教育課程の編成を行う権限を有する者は誰であるか。教育課程は学校の教育計画であるから、実際に教育活動を行う学校において編成することが望ましいことはいうまでもない。学習指導要領でも、「学校においては、法令およびこの章以下に示すところに従い、地域や学校の実態および児童の心身の発達段階と特性をじゅうぶん考慮して、適切な教育課程を編成するものとする。」と定めている。ここで「学校においては」とは、公の施設の長としての校長を意味している。(学校教育法第二十八条参照)したがって教育課程の編成権者は校長である。しかしこのことは教育課程の編成は校長一人で行うということでは勿論なく、実際上は、教頭や教務主任等を中心に行うことになろう。(ちなみに福島県立学校の管理運営に関する規則第十条は、教育課程の編成の資料の収集こ関して教頭の専決事項としている。)

 

三、学習指導要領

 

学校教育法施行規則は、「教育課程については、教育課程の基準として文部大臣が別に公示する学習指導要領による。」と規定し、学習指導要領は教育課程についての基準であることを示している。ところで学習指導要領の基準性については、例えば、「学習指導要領は教育課程の大筋を定めるに過ぎない。」ともいわれているように、教育活動の生格からいって幅のあるものであり、弾力性を有していると解される。

次に学習指導要領には、これに反する事実があれば違法となり、一定の法的効果が生じるという意味での法的拘束力をもつかという点についてである。

学習指導要領は、文部省告示として公示されている。告示は公示を必要とする行政措置の公示の形式(国家行政組織法第十四条参照)であり、実質的には行政立法の生質をもつ場合がある。ところで、学習指導要領は、学校教育法施行規則の委任に基づいて、文部大臣が定めているものであるから、法的拘束力をもっていると解されるのである。

 

四、その他

 

最後に、教育課程の構成要素の一つである各教科の主たる教材としての教科書についてであるが、学校教育法にも規定されているように、文部大臣の検定を経たか、著作の名義を有する教科書を使用しなければならないことに注意しなければならない。

 

 

 


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