教育福島0018号(1977年(S52)01月)-014page
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デザイン・工作を中心として、発達段階に応じた造形表現を高めるための指導
−−特に、構想する力を豊かにする面から−−
小野町立小野新町小学校
昭和五十・五十一年度 文部省指定)
一、研究の内容と方法
デザイン・工作の表現においては、目的・機能の的確なは握と適切な条件設定の中で豊かな発想をし、構想をじゅうぶんねりながら取り組むことが重要である。これらのことを基本的におさえて児童の実態を検討した結果、指導に当たっては、特に、題材の吟味と構想する力を豊かにすることがたいせつであるという校内の共通理解に立って研究を推進した。
(一) 研究仮説
デザイン・工作の領域において、次の点を的確にとらえて指導すれば、造形表現力は高まるであろう。
1) 発達段階に応ずるために
ア、学年的発達の実態は握
イ、発達段階に応じた題材の検討
2) 構想する力を豊かにするために
ア、目的・機能のとらえさせかた
イ、資料及びその提示の研究
ウ、材料・用具の特性と技法の指導
エ、表現意欲を高め持続させる指導
オ、指導過程の研究
(二) 研究の主な内容とその方法
1) 学年的発達の実態は握
ア、デザイン・工作領域における発達の傾向を、学習指導要領と教科書の内容との関連から分析した。
イ、授業研究をとおして児童の造形活動の実態をとらえた。
2) 発達段階に応じた題材の検討
従来の指導計画に基づいた題材について
・目標や内容に無用な重複はないか
・題材数と配当時数は適切か
・題材に対する興味関心はどうかなどの点から検討した結果、題材の統合と、新題材の発掘に取り組んだ。
3) 目的・機能をは握させる指導
発達段階に応じた指導と、条件の限定との面から追求し、OHPや参考作品等によって感覚(視覚)的に目的・機能をは握させる研究をした。
4) 資料及びその提示の研究
構想する力を高めるという視点から、よい資料の条件、効果的な活用指導過程と提示の時機との関係等について授業研究をとおして追求した。
5) 材料・用具の特性と技法の指導
題材にかかわる材料・用具の選択と表現意欲、及び技法の難易と構想との視点から授業研究を通じて追求した。
6) 表現意欲を高め持続させる指導
何を表現するかについて主体的にとらえ、自分なりの構想をねりあげ技法をくふうして取り組んでいる場合は、意欲的・集中的であり持続的であるという考えから、特に次の二点をとりあげて追求した。
・心情や感性を重視した指導
・計画性や見とおしをもたせる指導
7) 指導過程の研究
指導の段階として、感受発想・構想・表現・鑑賞の四段階を設定し、それぞれの要点を次のようにおさえて進めた。
○感受発想……ねらいをは握させ表現意欲を高めさせるとともに、想を広げる段階
○構想……作品のできあがりを見とおして材料技法など、手だてについて具体的に計画をねる段階
○表現……構想に基づいて表現するものの、絶えずフィードバックしながら、材料・用具の特性を生かして実践する段階
○鑑賞……作品のよさを相互に認めあい、反省する段階
二、成果と反省
1) 題材の統合、地域性を生かした題材の発掘等、指導計画の改善につながつた。
2) 児童の表現活動が主体的になるとともに作品の質的向上がみられた。
3) 児童・教師ともに表現以前の構想段階を重視するようになった。
研究が進むにつれ、いくつかの困難に当たったが、そのつど原点(児童の実態と学習指導要領)にもどってねばり強く追求した先生がたの熱心な研究態度には特に心うたれた。今後更に他領域の研究にも取り組まれることを期待したい。
(県中教育事務所指導主事大河内宏通)
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豊かな構想・表現活動が展開される
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