教育福島0018号(1977年(S52)01月)-016page
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豊かな人間を育成するための教育課程の実践はどのようにすればよいか
−−教科・教材の本質に即した指導はどのようにしたらよいか−−
会津若松市立第三中学校
(昭和五十・五十一年度 文部省指定)
一、研究の内容と方法
(一) 研究の仮説
教材の構造化を図り、集団思考=協力学習を指導過程に意図的・組織的に位置づければ、次の効果が期待でき、豊かな人間の育成に寄与できる。
1) 生き生きとした授業の展開が期待できる。
2) 自主的・主体的な学習態度が身につき、学力は確かなものになる。
(二) 研究の基本的な考え方
「豊かな人間を育成する」ための研究推進に当たり、次のことをもって基本的な考え方とした。
1) 研究主題と学校教育目標との関連から副主題を設定し、主題ヘアプローチした。そして、本質的な指導の展開をめざし実践することが、豊かな人間の育成につながると考えた。
2) 豊かな人間を育成するための生き生きとした授業について次のように定義づけた。
ア、目的的であること
イ、活動的であること
ウ、学習内容がえりすぐられていること
エ、内的報酬があること
3) 教科等の研究内容を指導計画の改善と指導方法のくふうの二つにした。
4) 研究内容の具体的実践のため、研究の六つの観点を設けた。
ア、実態は握
イ、学習訓練(学び方・予習的課題)
ウ、小集団学習
エ、教具の活用(機器を含む)
オ、教材構造
カ、指導計画
(三) 研究の実際
教材のしくみを的確にとらえ、生徒の実態に適合させ、予習的課題、小集団学習、教具の活用などを媒体として指導計画をたて、授業によって検証してきた。
一年次は、指定教科等に限定せず全教科、特別活動、道徳がそれぞれに研究テーマを設定し、授業研究も全教科等で実施した。授業研究会は四分科会(国・社・英)(理・数・技家)(保体・音・美)(特別活動)で行った。
本年度は、指定四教科(国・理・保体・特別活動)を中心に年間指導計画の改善を図って研究した。
学習指導の展開に当たっては、事前調査により、指導内容の精選・重点化を図り、発問については上位・中位・下位群への配慮を明確におさえ、小集団学習の有効な位置づけ方をくふうし、教具の活用による学習の効率化を図ってきた。
このようにしてなされた研究授業により、教材類型におけるいくつかの指導方法のパターンが形作られ日常授業の中で実践されていった。
指定四教科における主題は、次のとおりである。
1) 国語科−文法を国語の能力にまで高めるためのくりかえし指導
2) 理科−エネルギーに関する指導について、興味・関心を高める三つの手だて(教材開発、学習課題、生徒の発想)の設定
3) 保健体育科−器械運動における到達目標を設定し、体育の日常化と技能の向上
4) 特別活動−学級指導における進路の学習において問題意識をもって学習に取り組ませる指導
二、成果と反省
文部省指定の研究校として二年間ではあるが、大きな成果をあげることができた。これは過去五年間の自主的な授業研究とその実践の成果を生かされたことと先生がたの研究に対する主体的な受けとめ方による結果であろう。
研究の成果として、次のような点があげられる。
1) 学習に対する生徒の自主性、主体的な取り組みがみられるようになり生き生きした充実感のある学習が展開されるようになった。
2) 調査の結果からは、望ましい学習への構えがみられ、学力も向上してきた。
3) 教材に対する見方が的確になり指導内容の精選・重点化が図られ、まとまりのある指導ができるようになった。
4) 一人一人の考えをたいせつにし、個人思考と集団思考の適正な場の設定がなされるようになった。
5) 毎日の授業に研究の成果が生かされ、教師自身が変容してきた。
大規模校で、しかも教科のちがいから一般に教科担任まかせの研究になりやすいが、共通テーマのもとで四分科会の組織的な授業研究会を実施し、教科の壁をのりこえて研究を深められたことは本当にすばらしいことである。
(会津教育事務所指導主事五十嵐義)
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機器の活用を図っての学習指導
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