教育福島0018号(1977年(S52)01月)-023page

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昭和51.11.30発行

 

公開特許公報

 

51−1390〔6171〕

 

第4産業部門

第3区分(工作機械,産業機械関係)

 

4(3)−120〔481〕(特許公報表紙)

 

図書館コーナー

 

特許関係資料について

 

図書館の役割の一つに「調査・研究の援助」がありますが、その援助のために使用される参考資料としての特許関係資料の利用は、近年とみに増大しています。本県では県立図書館の他に会津図書館・いわき市立中央図書館で利用することができます。

今回はこの資料の概要について説明しましょう。

修理屋の小僧だったパーカーが、そのころ棒状だった万年筆を流線形に型をか、えたのが大衆にうけ世界の万年筆王になった話がありますが、ちょっとしたくふう、これが発明考案です。

 

一、特許制度の始まり

 

発明考案は、私たちの周囲に満ちており、発明の真つただ中で生活しているといっても過言でありません。この新しい発明考案をした人は、特許権という特別の権利を認めて優遇します。この特許制度は、十七世紀のころ英国で始まりました。

明治四年といえば、武士がチョンマゲを切り、翌五年には、東京−横浜間に鉄道が開設され、近代国家へのスタートを切った時代です。この時「有益な発明には特許を与える」制度が設けられました。この頃鈴木梅太郎がビタミンを発見しています。正式には明治十八年四月十八日、専売特許条例が公布されました。これが現在の特許制度の始まりです。

 

二、特許等の種類

 

一つの発明をした人に対して、その人の許しがなければ、その発明を利用して物を作ったり、それを販売したりできないという特別の権利、これが特許権です。この他実用新案権・意匠権・商標権があります。

A、特許

化学繊維品のナイロンとか鉛筆の製造方法が特許になります。したがって製造方法が違えばナイロンと同じ繊維品を作ってもかまいません。

B、実用新案

特許に似た権利ですが、物の形状や構造、あるいは組合わせについての考案です。鉛筆を例にとれば、鉛筆の製造方法は特許になり、机の上に置いてもころがらないようにくふうすれば、その考案は実用新案になります。

C、商標

私たちの日常生活には、ずいぶん目印とかマークがあります。これが商標です。石けん・乳製品など数多く売られているので、どこの会社で作ったものか容器だけではわかりません。そこで特定の商標を付け、その商品の信用を保証します。

D、意匠

化粧品は、人目につくようにいろいろくふうされています。この商品の外観上の形・色・模様などの組合わせのくふうを意匠と呼びます。エプロンやカーテン掛の模様、時計の形などが意匠です。

 

三、特許等の手続方法

 

発明考案した製品は特許庁に出願します。

1) 願書 発明の名称、発明、出願者の住所、氏名記入

2) 明細書 発明の内容を記入

3) 図面

4) 手数料 特許六千円、実用新案、意匠、商標は一万二千円

出願された発明考案、すべての内容を特許庁では「特許公報」という刊行物を発行して世間に知らせます。公報には、公告番号、出願番号、出願年月日、発明考案者名、発明考案の名称を公開し、一般の人々に異議がないかを問います。異議がなければその製品は特許権を得るわけです。

 

四、特許権等の存続期間

 

特許などの権利は永久のものでありません。権利を認める期間を存続期間といい、それ以後は効力がなくなります。特許及び意匠は十五年間、実用新案は十年間。したがって「プラスチック」などの製造は十五年すぎれば、どこの会社でも製造できます。しかし意匠と商標権は簡単な手続きで更新できます。

以上が概要ですが、発明考案したものを特許庁に出願する前には、必ず図書館などで公報を見てからにすることです。類似品はすべて却下されるからです。

県立図書館では、特許公報が明治四十三年から、新用新案公報が明治四十二年から、意匠公報が昭和八年から、そして商標公報は明治四十三年からのものを所蔵し、住民の利用に供しています。

 

 

 


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