教育福島0020号(1977年(S52)04月)-012page
的疾患等のため、注意力の集中困難をきたしていないか。
○性格、情緒的な問題
劣等感、夢想的傾向等がないか。また、各種の神経症的傾向が表れていないか。
○家族的原因
家庭内の不和、教育への無関心等が影響していないか。
○学校による原因
教師や友人との人間関係、教科の得意、不得意とともに、学習意欲の低下、嫌悪感がないか。
○勉強嫌い
(原因)
○知能が低いため、全般的に学習活動についていけない。
○ある教科担当教師との人間関係の障害から、その教科が極端に嫌いになることがある。
○心身の慢性的疲労から、根気、持久力を失っていることがある。
○情緒障害、神経症等の症状のために勉強を嫌悪するようになったり、勉強に身がはいらなくなることがある。
○性格形成全般の問題、例えば家庭教育やしつけの影響が心理的な耐性の形成不全をもたらすことがある。
○親の期待過剰、無理じいがかえって勉強嫌いに追いやり、また、親の強制的な態度に対する反抗心が、ますます勉強嫌いにしてしまうことがある。
これらの診断の観点をもとに、児童生徒の学業不適応を早期に発見し、その原因をつきとめ、早期に適切な治療指導を行っていかなければならない。
2、学業指導に当たる教師の姿勢
(1) 学業上の問題と教師の指導
学業上の問題の中には、児童生徒の能力等を考えない指導の内容のため、児童生徒がやる気を起こせないといったこともあると考えられる。学業上の悩みをもつ児童生徒を発見した場合、教師自ら指導の内容や方法についても考えてみる必要がある。
(2) 児童一人一人を伸ばす
一人一人の児童生徒はかけがえのない個性的な存在である。その児童生徒の適性や能力をじゅうぶんに伸ばすことを考えねばならない。
例えば、教科間の学力に大きな差が見られる場合、劣る教科の学力の向上を図ることのみがその児童生徒を生かす唯一の道ではない。むしろ、その長所に目を向け、そこを突破口として他の不得意な領域の向上を図ることが有効な場合もあろう。
(3) 継続的な指導
学業上問題をもつ児童生徒の指導に当たっては、学級指導等集団場面で指導するとともに、一人一人の実態に即して具体的な指導が必要となってこよう。この場合、是正すべき点の指示等のみに終わらず、指導後の実践状況を確かめ、再度相談等を繰り返しながらその児童生徒に適する方法を当該児童生徒といっしよになって探索していくことがたいせつである。
五、家出事故を防止するための指導
家出という意味は、いわゆる家出のほか、無断外泊、はいかい等まで含めて使われることが多いが、要するに「児童生徒が、保護者の許しを得ないで、その保護・監督の下を離れ、家にもどらない行動」ということであろう。
つまり、家出という行動は、家庭からの逃避であり、保護者への反発であると考えることができる。
しかも、家出の問題は、児童生徒ばかりでなく、大人の世界でも起こっているが、児童生徒の家出ということは家庭がもつ人間形成の役割から考えて大人のそれとは意味合いが違っており深刻に受けとめなくてはならないと思う。
また、児童生徒の場合、発見が遅れたり、事後の指導が適切でなかったりすると、非行に走ったり、被害者にされたり、最悪の場合は自殺に追い込んでしまう危険さえも考えられる。
しかも、家出の原因や動機が複雑多様化しており、その指導はむずかしさを増している。(表4参照)
1、家出の原因・動機
家出には、それに追い込む内的、外的な圧力があり、更に、これに家出を実行に移す直接のきっかけとなる出来事が重なって発生すると考えられる。
まず、家出に追い込む圧力とては保護者の保護・監督の態度(過保護、期待過剰、過度の支配や干渉、兄弟姉妹間の差別、拒否、無関心、放任など)家庭の不和、父母の変動や欠損、友人からの誘いなどが考えられる。表4にみる原因・動機のうち家庭関係としてまとめられているものがこれに当たると思われる。
また、内的な誘因としては、学業不適応や学業不振、疾病、進路の不安、対人関係の不適応、日常生活のけんたい、非行など、更に、自由や華やかさ
〈表4〉家出の原因・動機
小中 小学校 中学校 年度 昭51 昭50 増減 昭51 昭50 増減 原因・動機 総数 33 34 △1 130 130 0 家庭関係 16 18 △2 31 22 9 学業関係 6 3 3 40 39 1 事業関係 1 1 疾病関係 1 △1 犯罪関係 2 2 3 3 0 異性関係 8 6 2 その他 9 13 △4 47 59 △12 (県警本部防犯少年課調べ)