教育福島0020号(1977年(S52)04月)-016page
最後になるが、「性に関しての知識はどこから」に対しては、友人・雑誌が多く、とくに一〜二年生男女では友人、三年では男女とも雑誌が多いとぁるのに注目すべきであろう。
また、学校の授業において知識を得た数は、家族からという数よりも少なかった。
三、指導目標
アンケートの中での、性に関する知識でわかるように、雑誌、TV、マンガなどでとりあげている性の問題を批判的にうけとめるか、無批判に吸収するかによって、性の「解放」が単なる「開放」になるかのわかれみちとなろう。
したがって、雑多な性の情報や社会現象から、何を選択し、それをどう理解して、人間(自分)として「いかに生きるか」を考え行動することのできる自己決定能力を身につけさせることがたいせつであろう。
四、指導の主な理由
(一) お互いに人格を尊重すること。
(二) 異性を理解し、批判する力を養うこと。
(三) 秘密にしないこと。
(四) 友情と恋愛を混同しないこと。
(五) 交際を強制しないこと。
(六) 自分の意志をはっきり表すこと。
(七) 服装や態度に「たしなみ」を忘れないこと。
(八) 快い感じを与えるような態度をとること。
(九) 経済上の負担を負わせないこと。
(十) 自分の行為に責任をもつこと。
等、男女交際の心構えとして指導すべきであろう。
五、指導上留意すべき基本事項
(一) 主体性尊重
望ましくないことを禁止したり、望ましい方向を指示することも必要ではあるが、原則的には、子供が主体的に判断して、みずからの行動を律するようにしむけたい。
一方的な規制は反発を招き、逆の結果を生むこともある。
男女間における性衝動の違いを正しく理解し、お互いの責任において交際の原則的なあり方を考えさせるようにする。
(二) 相談助言
交際を自分たちだけのものとして秘密にせず、信頼できる第三者、できれば親または教師に相談し、助言を受けるように指導したい。
悲劇を生んだ交際の多くは、ひとりよがりの交際から起こっている。
交際を打ち明けるということは、相手との交際を公正にして、お互いに人間としての責任を課するとともに、問題が起こった際の相談の道を開いておく、という意味をもつことを理解させなければならない。
(三) 理解的態度
交際のルールの精神に立って、実際の場において具体的にとるべき態度にまで言及することと、たとえば、交際を求められたり、誘いを受けた場合に「相手に対して意思表示を明確にすること」という一般的な心得だけではじゅうぶんではない。断わったために、相手の感情を高ぶらせ、刺傷を受けたようなことも起こっているので、相手の心情を汲み、恥をかかせないように丁寧に理由を言って断われるよう指導する必要がある。
(四) 体験活動
単なる知識の指導にとどめないで、具体的に男女の理解に資する体験の場を積極的に与えるような配慮も必要であろう。
ホームルーム等で身近な現実の問題を論じ合ったり、クラブ活動や共同作業のような体験活動をもつことによって実感的に理解が深まるようになると考えられる。
(五) 自己分析
一般的に第三者的な話としてでなくつねに自己にかえし、自己のあり方をさぐらせるようにすること、たとえば次のような事がらはどうだろうか。
一) 何のために交際を求めているのか、または交際をしているのかを交際の意義目的に照らして考えさせる。
二) やましくない交際であるが、現在の発達段階にふさわしい交際であるか、時と場所などの限界をわきまえているかどうか考えさせる。
三)自分の生活全体が、交際のために阻害されないで、うまく調和しているかどうかを考えさせる。
(六) 個人配慮
教師自身はつねに子供の状況を観察し、集団指導にとどめないで、場合によっては、教師の方から進んで、一人一人の子供に合った指導を行う姿勢が必要であろう。
(七) 教育体制
交際指導を学校教育体系の中に位置づけ、教育全般の巨視的な観点から扱うことがたいせつである。
交際指導を性教育や生徒指導の問題とは握している限り、指導のじゅうぶんな成果は期せられない。もちろん、父兄の理解と協力を求めることはたいせつである。
交際にかかわる問題は、学校だけでなく家庭における種々の不適応から発していることが多いことも見逃すことができない。
喫煙防止の指導について
一、はじめに
現在全県的に高校生の喫煙防止に関する指導が、単に教育関係者だけでなく地域を含めた青少年の健全な育成の問題として大きく取りあげられている。
高校教育は、人間尊重を基盤とする豊かな人間形成をめざして、身体の健全な発達、遵法精神、健全な生活習慣