教育福島0020号(1977年(S52)04月)-018page

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に立つ必要がある。喫煙を人間的な社会的問題として生徒とともに考えていく姿勢がたいせつである。

アンケートの中に「自分自身の問題として吸わないようにしよう」という提言が第一位を占めている。教育の機能が生徒を救い援助することにある限り、生徒に喫煙の習慣を身につけさせないことに最大限の努力が傾けられねばならない。

その指導は、

1) わかる授業の充実

2) 教科外の教育活動の充実

3) しつけ指導の徹底

4) 環境整備

5) 情操教育の充実

6) 地域社会、家庭との連携

など多面的に、それが互いに影響し合いながら「喫煙への動機」を除去していくことになる。

(2) 喫煙常習者への指導

喫煙常習の生徒は、極端な場合小学生からたばことの接触があり、早くから多少とも喫煙の経験を持っているものが多い。

まず、どのような状態、どのような条件のもとで近づいて、どのように習慣化してきたかを、個々には握し、同時に考えさせる必要がある。

その過程でなにが彼の心を禁じられているたばこに向けていったかを理解する教育相談的なアプローチのしかたがでてくる。

裁く、罰する構えは「より見つからぬように吸おう」という逃避を生むおそれがある。おどし、しめつけでない心に触れる指導、対話による日頃の指導が基盤となり、自己決定の能力を身につける指導が前提となって「どうしたらよいのかわからない」彼を救いあげることが可能になる。

(三) 集団指導のなかで

教育の機能を発揮するために教育相談的な手法が見直されるなかで、集団場面での指導のもつ効果が見落される傾向はないだろうか。グループダイナミックスの大きな作用力は喫煙防止の指導のなかでも極めて有効である。

「高校生にとってたばこくらいは」という安易感を捨てることが教育の出発となろう。

喫煙防止の指導への取り組みは、健康で民主的な次代をになうにふさわしい人間の養成を前面に押し出し、ホームルーム、生徒会、学年会等の集団の問題として取り組む姿勢のなかで行われるべきである。

それは、喫煙防止に取り組むという具体的な努力により解決可能な問題なのであるという集団の確信を必要とする。

教師と父母と生徒の喫煙防止への確信にみちた息の長い日常活動が必要となる。

アンケートの「吸いはじめの時期」に対応するためにも、高校生活のなるべく早い時期からロングホームルームの議題の中に組み込み、保健体育のカリキュラムの中でたばこの有害性を教え、健康教育を行い、保護委員会活動により親の意識の変革を図り、またタイミングを見ての学年集会、学校行事の中で問題を提起し、常に生徒全員の問題として喫煙防止、禁煙指導を強化していく必要がある。

 

窃盗防止の指導について

一、事例からみた盗みの意識

(一) 思いつくままの行動

夕食後遊びに行った友人の部屋で、雑談のうち、たまたまバイクの話になった。「大きいのに乗ってみたいなー。」とつぶやいたことが刺激となって、急にバイクが欲しくなり、深夜に農家からバイクをとってきて、乗りまわしていた。いたって簡単に手に入ることを知ってからは、部品交換用にするためや、友人に売却するため、隣村まで行って、次々ととっていた。

(二) みんながやっているからの意識

友人から格安に購入したバイクは、盗品だったと知って、自分も部品欲しさからバイクを盗みだした。みんながやっていることだからと罪の意識も持たずに、計画的な盗みをくりかえしていた。

(三) そこにあったからという単純性

学校がおもしろくなかったので、午後から早退した。バスから降りると、停留所に最新型の自転車がとめてあった。施錠してなかったので、そのまま乗って帰った。返すつもりでいたが、日がたつにつれて、自分のもののような気がしてしまった。

(四) 自分たちの城をつくる連帯感

すっかり、遊び友達の「たまり場」となった勉強部屋は、母屋から離れている格好の場所である。なかまだけの秘密の場所にしようと相談し、「立入禁止」の標示をして、誰も入れないことにした。村の公民館から、こたつやざぶとんをはじめ、テレビまで持ってきて、遊び場にしていた。親は、立入禁止の標示を真にうけて、一度も部屋のなかを見ていなかった。

(五) 次々と遊びのような行為

帰りの汽車は、いつも友人とデッキにのっていたので、汽車に備えつけてある工具箱から、ドライバーをとるのも遊びだった。なんの抵抗もなくとったことが、次の万引きに結びつき、友人と組んでは、商店からレコード、衣類等をとっていた。長期間にわたっていたことが、万引きを習慣化させてしまっていた。

 

二、資料による実態

冒頭の「少年の補導及び保護状況」によると、窃盗の実態は、次のようである。

(一) 学職別

総数二千二百八十六人のうち、高校生は、七百二十二人で、三一・五%、中学生は、六百七十八人で、二九・六%、小学生は、四百三十四人で一八・九%となっている。小中高生徒は、窃

 

 

 


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