教育福島0020号(1977年(S52)04月)-023page
教育長あいさつ
社会情勢はますます複雑化いたしまして、児童生徒に悪い影響を与え、その非行もまた目だっております中で、皆様すでに御承知のように、要田中学校及び須賀川第二小学校において、いたましい事故が発生したことにかんがみ、ここに「児童生徒の非行防止について意見をきく会」を開催いたしましたところ、皆さんには、御多忙の中にもかかわらず、御参集いただきまして厚く御礼申し上げます。
最近の非行少年の特徴をみますと、低年齢下・集団化の傾向が指摘され、更には中流家庭の子弟にまで広がってきているところであります。
また、補導の結果からみますと、非行の動機が単純で、でき心によるものや、衝動にかられて自ら判断をあやまり、ついに罪を犯してしまうもの、又は、遊び的なものなども多く、その要因は複雑であります。
これら非行の背景としましては、学校教育・家庭教育あるいは社会の風潮等がさまざまな形で複雑にからみあっているものと考えられます。
これらの問題に対処して、県教育委員会といたしましても、児童生徒の非行防止対策をたて、鋭意努力しておるところであり、また、各学校においても児童生徒一人一人の個性・能力・悩み等をよく理解したうえで、特に、自制心や忍耐力をつちかう指導等に力を入れ、家庭や地域の協力を得て非行防止に全力を尽くすよう指導しているところでありますが、今回のようないたましい事件の発生をみたことはまことに遺憾であります。
この事件は、特異なものとは考えられますものの教育行政のあり方についても深く反省すべき点があるのではないかと考えているところであります。
今更申し上げるまでもなく、児童生徒の健全育成は、単に学校教育のみでなし得るものではありません。
特に、現在の複雑な社会情勢にありましては、この感をいっそう深くしております。したがいまして、社会全体の積極的な協力を得て、早急にこれが対策を講じて参りたいと考えているしだいでございます。
こうした意味で、本日はお集りいただきました皆様から御意見をお聞かせいただきたいと存ずるしだいでございます。どうかこの趣旨を御了解くだされ、それぞれのお立場からきたんのない御意見をおよせくださるようお願い致しましてごあいさつといたします。
司会(平山次長)
ここで司会を選出してお願いするところですが、こちらで司会をつとめさせていただきます。今回の須賀川三小のような事件はまことにいたましく残念でございます。二度とこのような事件が起こらないようにいたしたいと思います。そのためにはどのように対処していけばよいか、みなさまの御意見を承りたいと存じます。
事件についての感想(略)
司会
出席をお願いした十三名の方、それぞれお一人ずつ全部の方に御意見をいただいたわけでございますが、今後の進め方を整理したいと思います。今度の事件をどうお感じになられておりますかという問いかけを申し上げ、今後の対策にも触れた意見の開陳をいただいて、たいへんありがたかったわけですが今後御意見のしぼり方として、まず学校教育、言いかえれば先生に何を望みたいかこれが第一点。第二点は、家庭教育、もっとわかり易く言えば世の中のお父さんお母さんがたに何を望みたいか。第三点地域社会ではどうすべきか言い変えれば我々大人は何をなすべきか。第四点行政に望むもの。こんな順序で更に御意見をいただきます。それでは最初に学校教育、先生がたに何を望むか、これは学校教育に携わっておられないかたに、御意見をいただいた方がよいかと思いますが、まず須賀川の佐藤さん先生がたに何を望みますか。御遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。
佐藤
高校生の対策というとおかしいですが、藤井先生のお話が全くすばらしいと思ってお聞きしました。小中学校の場合、先生ももう少し公正な気持ちで教科以外の生徒指導の時間をたくさん作っていただきたいということ。私たちだけでなく、多くの父兄のかたが言っていることでございます。
司会
福島一小の山川さん、先生がたに何を望みますか。
山川
さきほど申し上げたように、戦後というか今の教育はほめる教育ということが主流になりまして、これは戦前の教育にしかるしつけというものが多すぎた反動でそうなっているのかもしれませんが、ほめる教育が多すぎて、しかるということがタブーのように考えられているのではないか。親も先生も子供をしからない。このことから、子供たちに自制的なものが欠如するということが起きてると思います。家庭でも、充分しかっていい要素があるにもかかわらずしからないであまやかしてしまうということがありますし、学校の先生も他人の子供を扱っているからしからない。もっとしかる姿勢があってもよいのではないか。未熟な子供の成長過程でしかるということは逆に言えば反抗ということに結びつくかもしれませんが、その辺の指導があってしかるならば、おおいにしかっていただきたいと思います。