教育福島0020号(1977年(S52)04月)-024page

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司会

宮本さんは先生がたに何を望まれますか。

宮本

非行に走った子供さんがおりますと私どもと先生がたとは同じ悩みを持ちますので、先生がたの悩みが直接的に私どもの方にもよくわかりますので、これを望みたいというふうには申し上げられません。ただ御父兄のかたや生徒さんにあまり迎合をしない。教育者としての姿勢をきちんと保ってくださる学校からは非行に走る少年は少ないということです。それからこういうことをお話してくださいというまでに、父兄のがたが先生に近づいてこられるような、そんなふうな父兄と先生の交流がぜひほしいと思います。非常にゆるやかな生徒が何をいうかというと、「うちの学校は少し強くでると何でも言うことを聞いてくれる。だらしがねえ」。というようなことを聞きます。それから厳しい学校の生徒は、「うちの学校は厳しいけれどもわかるところはわかってくれる。あのぐらいにしてもらわなければおれたちはだめになってしまうかもしれない。」ということを言います。これは家庭にもあてはまると思いますが、「何かいうと何でも聞いてくれる。うちのおやじはだらしがない。」と言います。今の少年たちは、決してあまやかされることだけを望んでいるのではなくて若い者がどんな方向に進んで行ったらよいのか。先輩としてアドバイスしてくれるような大人のかたに、より信頼感を持つということが話をすると出てきます。

また話のよくわかる理解のある先生、進歩的な先生とはどういう先生をいうのかということを、もう一度よくお考えいただきたいと思います。

司会

生徒及び父兄と迎合するなということですね。佐藤さん、何か後からお気づきの点がありましたらお願いします。

佐藤

家庭の教育機能を復活してくれという話をよく聞くんですが、教育をしようと気がついている家庭はよろしいんですが、気がつかない、授業参観にも来ない、家に帰っても子供の教育をしようとしない家庭も一部にあるということを先生にはっきりしていただきたいと思います。それによって加害者を生まないということにもなるのではないでしょうか。

司会

無関心な家庭に対して、積極的に手をさしのべろという御意見ですね。

梅津さんいかがですか。先生がたに何を望むかについて。

梅津

私は、やっぱり誠意と愛情のある、奉仕の精神のある教師ということが一番感じさせられます。本気になって何でも聞いてくれる先生、それはやっぱり子供たちの本当に望んでいることですし、遊びの中から教師がならぬものはならないということと同時に、地域の実情や実態をふまえて、地域の中に入ってとけこんでいただけるような先生がほしいという気がいたします。

司会

ほかに先生がたに何を望むか。加賀さんどうぞ。

加賀

私たちはこういう子供たちに会って思うことは、だいたい私の方に来るような、特に非行の子供たちというのは学校の場から落ちこぼれてしまった、あるいは落ちこぼれそうな子供たちが多いということです。よく先生がたから聞く言葉で、今はたいせつな時期で進学とか学業に熱を入れなければならない。そういう時期にこの子がいるとかきまぜられる。邪魔になる。いわば切り捨て的なことを現場でおやりになっている。わく外に出た子供の理解の仕方を中学校の先生がたによく考えていただきたい。この子が邪魔だというのでなくやはりこの子も仲間なんだということでかかわってほしいと思います。それからこういう子供たちを扱ってみて思うのは、すべて学業不振児であるということ。知能は普通なんですが、だいたい中学生で小学校四・五年の学力が、あればいい方です。私の方も、将来に対する志向性のようなものを吟味させて、がんばるようにいうけれど、しかし現場ではこの子たちにどういうふうに補充して、学力の回復を図り、学校の場に所属感情を育てていくのか、どうも疑問に思っています。非行を犯す子供たちの背景には、先ほど佐藤さんから指摘されたように、養護に欠ける家庭の子供、普通の家庭の子供でも非行を犯すのもいるといいますが、何らかの意味で家庭的な問題を持っているということなんです。授業参観などに来ない親への積極的なアプローチを、もう少し真剣に取り組んでいただきたいと思います。問題行動を持ったら、先生がたは一つの警鐘だと思ってください。何か私たちにサインを送ってよこしてるんだ。一体何のサインなのか。教師、大人側の一つの反省をこめたものの見方、子供の理解の仕方をしてほしいとぜひ思います。

司会

ありがとうございました。今まで出ました先生がたに何を望むかについては奉仕的であってほしい。しかってほしい。生徒父兄に迎合するな。無関心な家庭への呼びかけを積極的に、誠意と愛情のある何でも聞いてくれる先生になってほしい。落ちこぼれを出してもらいたくない。また落ちこぼれが仮りに出た場合には、それが全体の中で生きるような指導を。以上が主な点だったと思います。次に第二の点に移りたいと思います。家庭教育に何を望むか。これは最初に申し上げましたお父さんやお母さんがた、特に女性のかたが数多く入っておられますので、母親に何を望むかとおきかえていただいてもよいかと思います。家庭教育に重要な役割を果たしているところから、これは関係者一

 

 

 


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