教育福島0020号(1977年(S52)04月)-041page

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やさしい教育法令解説

任命権者について

 

一、人事機関

県や市町村などの地方公共団体における人事機関には任命権者、人事委員会それに公平委員会があります。任命権者とは、地方公共団体の長(知事や市町村長)、地方公共団体の議会の議長、教育委員会、人事委員会などの各種行政委員会等、職員の任命、休職、免職、懲戒等人事権を有している者をいいます。(地公法第六条参照。)

次に人事委員会ですがこの機関は、都道府県と指定都市(政令で指定する人口五十万以上の市をいう。)に必置のものです。(人口十五万以上の市にあっては人事委員会又は公平委員会のいずれかを置かなければなりませんが現在仙台市が全国で人事委員会を置いている唯一の市です。)人事委員会は、議会の同意を得て、地方公共団体の長によって選任された三人の委員(常勤又は非常勤である。)によって構成される合議制の執行機関です。人事委員会の権限としてはその機能の点から(一)人事行政の調査、職員に関する制度の研究、職員の競争試験や選考などの行政的権限(二)人事委員会規則や規程の制定などの立法的権限(三)職員の勤務条件に関する措置の要求の審査、判定、審査の結果執るべき措置の勧告、不服申し立てに対する裁決、決定などの準司法的権限の三つに区分することができます。(その他具体的権限については地公法第八条等参照。なおここで人事委員会が例年行う給料表に関する報告及び勧告について、その勧告の法律上の意義について説明しますと勧告とは、特定の事項について意見を申し出て、相手方に対して申し出た意見にそう処置をとるように勧め又は促す行為である。しかし、相手方に対する法的強制力はないものと解されております。そして、公平委員会は人口十五万以上の市又は人口十五万未満の市町村、特別区、地方公共団体の組合に置かれるものです。公平委員の選任方法員数は人事委員と同じでありますがその勤務態様はすべて非常勤です。

公平委員会の権限には職員の勤務条件に関する措置要求の審査、判定、審査の結果必要な措置を執ること、不服申し立てに対する裁決又は決定、そのほか公平委員会規則の制定、管理職員等の範囲の決定、職員団体の登録に関することなどがあります。しかしこれらの事務については他の地方公共団体の人事委員会に委託して処理させることができますので本県においてはほとんどの市町村で県の人事委員会に事務委託をしているのが現状です。(地公法第七条、地自法二五二条の十四参照。)

二、教職員の任命権者

教職員の任命権者は、御承知のとおり教育委員会です。ただこの任命権の行使は教育長の推せんにより行うことになっています。(地教行法第三十四条。)

ところで県費負担教職員(都道府県がその給与を負担する市町村立学校の職員のことをいいます。但し市町村立高等学校については定時制課程をおくものに限られます。)の任命権は都道府県の教育委員会にあります。本来県費負担教職員は当該市町村の地方公務員たる身分を有するわけですから任命権が都道府県の教育委員会に属するということは地教行法第二十四条の「この法律に特別の定がある場合」にあたります。これは県費負担教職員の給与負担団体と任命権の行使との調整を図るとともに都道府県内の人事交流を円滑にすることを目的としています。ただ服務の監督権(職務に専念する義務や法令に従う義務などの職務に服する態様を服務といいます。)は市町村教育委員会にありますからその意見を反映せしめるという趣旨で都道府県の教育委員会は市町村教育委員会の内申をまって任命権を行使することになります。(地教行法第三十八条、第四十三条参照。なお、内申については「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三八条の市町村教育委員会の内申がない場合の都道府県教育委員会の任命権の行使について」昭和四十九年十月四日初中局長通達がありますので参照のこと。)

また、市町村立、県立学校のいずれをも間わずその校長には所属職員の任免、その他の進退に関する意見を教育委員会に申し出ることができます。

(注) 文中略称を用いた法律名は次のとおりです。

地公法=地方公務員法

地教行法=地方教育の組織及び運営に関する法律

地自法=地方自治法

 

 

 


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