教育福島0021号(1977年(S52)06月)-012page
ら学習できるということと、全部やってから答え合わせをして、全部間違っていたというような無駄な、その上生徒の学習意欲を失うようなことがないように配慮されているので参考に供したい。
例三 練習問題用紙
(二) ものの考え方を指導すること
学習は、「既知を土台として未知をひらく」ことであるといわれる。この「既知を土台として未知をひらく」ということは、学習そのものであるが、児童生徒の学習の姿としてあらわれてこなければならない。児童生徒は、新しい問題を与えられて「さあ、考えなさい」という教師のことばに困惑している姿が多くみられる。これは、教師は「考えない」というだけで、その「考え方」を指導していないことに原因があるのではなかろうか。その結果として、児童生徒は「何をもとにして考えるか、どのような手順で考えるのか」わかっていないし、そのような訓練もできていないというような例が多い。
そこで、新しい問題にとりくませる導入においては、教師の発問は、特に既有の経験や知識とのかかわりあいをもっていることがたいせつである。
また、児童生徒自身には、学習訓練をとおして、つぎのようなものの考え方の手順を指導しておくことがたいせつである。
(1) 新しい問題を考えるとき、これとにたような問題を前に学習していないかを考える。また調べてみる。
(2) にたような問題を学習していたらどこが同じで、どこがちがうのかを調べる。
(3) このにたような問題をもとにして問題を解決できないかどうかを考える。
次の例は、むずかしいといわれている文章題について、各学年の共通したものをとりあげ比較したものであるが学年は異にしても同じ構成の文章題が多いことに注目して指導したい。
例四 文章題の構成の比較
小1年 小4年 中1年 きのうどんぐりを9こひろいました 長いテーブルから1/5mのテープと 20円のはがきa枚と きょうは4こひろいました 3/5mのテープを切りとって使いました 50円の切手b枚の どんぐりはみんなでなんこになりましたか 使ったテープは全体で何mになりましたか 代金の合計はいくらか
理 科
理科の指導の重点は、昨年とほぼ同様で、特に指導内容の重点化、教材の精選・探究の学習については、本誌昭和五十年、五十一年の六月号において取りあげたところである。
本号では、探究学習を成立させる授業について、その具備すべき条件を昨年六月号に引き続いて考察してみることにする。
一、教材の選定と教材研究
(一) 教材の選定
一人一人の児童生徒が問題を発見し各自がみつけた問題を解決していこうとする授業においては、教材の選定にじゅうぶん配慮しなければならない。教材の内容によっては、このような取り上げが可能なものもあるし、現状では無理なものもある。
このような探究や学習のための教材選定の条件としては、次のようなことがあげられる。
(1) 児童生徒によって多くの疑問や問題がみつけられること。
(2) 疑問や問題の解決法が、児童生徒によって考えられ、しかも解決可能であること。
(3) 解決が、予定の時間内で可能であること。
(4) 児童生徒だけで実験しても安全であり、必要な器具・試料が手軽に準備できること。
(5) 基本的事項や科学の方法の習得に有効であること。
更に学習が終わった後、高次の問題発見ができ、探究活動の継続が期待できれば理想的な教材である。
現状においては、学習指導要領に定められた内容の中から、前述の条件にかなう教材を選定することである。
また、学習によっては、ある教材を学習させるとき、教師のほうで問題提示する場合もある。この場合は、次のような問題提示のできる素材の選定が必要である。
(1) 児童生徒に矛盾を与えるような問題提示
(2) 児童生徒が驚き、不思議さを感じるような問題提示
(3) おもしろく、興味を引くような問題提示
(二) 教材研究
探究の学習のため教材が選定されれば、教師は次のような点について教材研究が必要である。(教材研究には自然科学の専門的研究も必要であるがここではふれない)
(1) その教材は自然科学の基本概念とどのような結びつきをもつか。
(2) その教材は、児童生徒の心身の発