教育福島0021号(1977年(S52)06月)-013page
達、思考の発達の程度からみてどのように位置づけられるのか。
(3) その教材に対する、児童生徒の興味・関心の程度はどうか。
(4) その教材に含まれている内容について、児童生徒はどれだけ経験をもち、どれだけのことを知っているか。
(5) その教材に含まれている実験・観察の内容は、児童生徒の技能からみて妥当か、また、学校の施設・設備からみて実施し得るものか。
なお、教材研究に当たっては、その教材に含まれる実験・観察が教師にとって未経験の場合は、ぜひとも経験して、どこに困難点があり、どこに危険性があるかを熟知してほしいものである。
教師の作業と指導過程
二、授業計画の立案
授業計画をどう立案し、実際の授業をどう行うかは、授業の目標から決定される。ここでは、「児童生徒が問題を発見し、それを解決していく」すなわち、探究の学習過程について、基本的な条件を考察する。
左の図は、授業の過程を示したものである。このような過程は、次のような条件をふまえることによって成立するものである。
(一) 児童生徒の実態調査
これは、目標を設定し、学習を展開する上から必要なことだけではなく、学習後の児童生徒の変容をとらえるためにもたいせつなことである。
(1) 教材について、児童生徒にどれだけの既習事項があり、どれだけ知識や技能を持っているか。
(2) 教材に含まれる事物・現象について児童生徒はどれだけの知識を持ち理解しているか。
(3) 理科に対する興味・関心、学習のしかたなど児童生徒の現状はどうか。
(二) 学習目標の設定
学習で望むことは、知的内容を獲得することだけではない。児童生徒が問題を発見すること、それを解決する過程で要求される幾つかの能力--因果関係的な見方・考え方、あるいは、科学の方法など--が目標として具体化されなければならない。
また、探究することによってある科学の基本事項を発見させようとする教材と、探究すること自体が学習であるような教材とでは目標の設定も異なってくる。
更に、すべての児童生徒に共通の同一目標を設定するのか、児童生徒の学習のしかたに応じて達成目標に幅をもたせるのかも考えなくてはならない。共通にもたせる目標は何か、一人一人に応ずる目標はどれかを考えた目標設定が必要である。このことはたいへんむずかしいことではあるが、考えなければならないことである。
(三) 提示する教材・教具の選択
素材として何を選ぶか、何を用意するかは、この学習を左右する重要なことである。このためには、幾つかの素材を暫定的に定めそれについて教師としてどのような問題がみつけられるかを検討したり、必要に応じて幾人かの児童生徒にそれを与えて、どの程度問題発見が可能かを調査したりすることがたいせつである。
(四) 教師による問題設定
児童生徒が発見した問題には、授業のねらいとははなはだしく違う問題もある。このようなとき、学習の方向を修正するために問題を設定しておく配慮が必要である。このような問題は、目標の分析、児童生徒の実態などから仮に決定し、児童生徒が問題を見つけたところで修正しながら有効なものへとつくり変えていくことが必要である。
(五) ワークシート、手引き等の準備
一人で問題解決できない児童生徒には、ワークシートを用意する。ワークシートは、ねらいに即する問題の一つ一つについて作成し、それを児童生徒の希望によって選ばせる。また解決に必要な資料や学習の手引きなど、児童生徒の活動を予想して作っておく必要がある。
(六) 過程における評価
解決していく過程で常に評価し、それによって教師はコントロールし、フィードバックをしなければならない。また児童生徒がどのように自己評価させるかを計画しておく必要がある。