教育福島0021号(1977年(S52)06月)-019page
あるようです。写像と関数とを指導の際に、どのように関連させていますか。
(1)指導上、写像と関教とは同義であるとして扱っていますか。
(イ)いる (二七%)
(ロ)いない (六八%)
(2)〔(1)(ロ)と答えた人に〕指導上、関数を写像の特別な場合として扱っていますか。
(イ)いる (九八%)
(ロ)いない (二%)
(3)(省略)
「3」「簡単な関数」教材の指導にあたっての観点を三つあげてみました。
A 関数指導は、まず関数とは、どんなことなのかについて、その定義、対応の規則性に重点をおいている。
B 関数指導は、点をプロットするにせよ、まず関数をグラフにあらわすことに重点をおいている。
C 関数指導にあたっては、まず関数の変化の状態に重点をおき関数を動的にとらえることをめざしている。
(1)数学1)の関数指導では、これらの観点に、どのようなウエイトをかけて指導すべきだとお考えですか。
(2)生徒の実態を考慮して、数学1)の関数指導では、これらの観点にどのようなウエイトをかけ指導されてますか。
(注) ABCの比重をa対b対cとするとき、abcの和が10になるように、お答え下さい。
〔アンケート結果〕
◎度数分布
(1)(回答者数75)
区分 A B C 比重 7 6 3 5 11 4 6 4 24 13 27 3 28 45 26 2 11 12 13 1 1 1
(2)(回答者数73)
区分 A B C 比重 7 1 1 1 6 2 5 4 10 2 4 26 23 19 3 29 33 27 2 11 4 22 1 2 2
◎平均の比重
(1)3.4:3.1:3.5
(2)3.5:3.5:3.0
二、(写像→簡単な関数)型か
(簡単な関数→写像)型か
アンケートの結果から、いくつかの問題点が拾われるが、ここでは次の一つに限って取り上げてみたい。「1」で「写像は簡単な関数と結びつけて教えた方がよい」と答えた先生がたに、「写像」と「簡単な関数」と、どちらを先に指導した方がよいですか、と質問したところ、
「写像」を先に指導した方がよいとする人が四十名(六〇・六%)「簡単な関数」を先にした方がよいとする人が二十六名(三九・四%)であった。この質問は「よいと思いますか」であって、「指導してますか」ではなかったので、実際にどちらを先に指導しているのか、この数からは必ずしも明らかではない。そこで、先生がたが使用されている教科書は、このことについてどう扱っているのか、十種類の「数学1)」の教科書にあたってみた。
(写像→簡単な関数)型で記述しているのが四種
(簡単な関数→写像)型が六種。
なお、後者については、さらに二つの型があり、一つは具体的な関数についての学習をすべて終えてから、最後の章で「写像」を扱っているのが二種、他は、二次関数の指導の直後で扱っているのが三種、三角関数の直前で扱うのが一種となっている。
ところで、アンケートの回答者の先生がたは、どのような教科書を使って指導しているかというと、
「写像」を先に指導した方がよいとする四十名の先生がたについては、
(写像→簡単な関数)型の教科書で指導している先生が十四名
(簡単な関数→写像)型の教科書で指導している先生が二十六名
「簡単な関数」を先に指導した方がよいとする二十六名については、
(簡単な関数→写像)型の教科書で指導している先生が十九名
(写像→簡単な関数)型の教科書で指導している先生が七名となっている。
(写像→簡単な関数)型の教科書を使用している先生が三一・八%を占め、(簡単な関数→写像)型の教科書を使用している先生が六八・二%となり、先生がたのお考えの型の割合と逆になっている。
先生がたが実際にどの型で指導されているかは、この調査ではわからなかったが、教科書の配列どおりに指導されていると仮定すれば、先生がたのお考えの順序と、実際に指導されているそれとが、一致していない先生がたが五〇%を占めていることになる。
実際に生徒を指導する場合には、教科書の内容の配列を変えて、授業に臨むということは、教材の流れや生徒の心理等を考えた場合に、なかなかむずかしいだけに、この五〇%という割合は、実際の指導の反省をとおして得られた先生がたの実感ということになろうか。
三、二つの型のメリットは
一概に、どちらの方がよいといえる性格のものではないだろうし、また、生徒の実態にそって指導がおこなわれるわけだから、問題はそう単純ではあるまい。
次にそれぞれの型のメリットと思われるものをあげてみたい。
(1)(写像→簡単な関数)型