教育福島0021号(1977年(S52)06月)-030page

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研究実践紹介

 

拡大OHPパターン簡易作成器

 

福島県立福島工業高等学校教諭 成田光義

 

一、まえがき

以前からあったオーバ・ヘッド・プロジェクタ(OHP)は、最近になってとみに普及の度が高まってきた。これは、機器そのものの改良と、現場の先生がたの教育工学に対する理解の深まりの結果と思われる。

ところで、その教材であるOHPシートについてみると、各教科ごとにくふうされた既製品が市販されはじめ、仕上がりがきれいで教師の手数がはぶける点で大いに歓迎すべきだが、まだ、価格が学校現場へ導入されるほど低くはない。それはそれとして、先生の教育目標に沿って自作された教材は生徒にも親しまれ、生きた教材となる例が多いものである。

ところが、このOHPパターンを自作する場合、略画や図面の複製となると、 一般的には(1)複写機による原図の原寸大の複写か、(2)原図をカメラで接写して、そのネガを引伸機によって拡大することになる。

(1)によれば図面が小さすぎる傾向があり、(2)によればかなり労力と経費を必要とする。また単なる手書きによる拡大複製も時間のかかる作業である。

そこで比較的安価に製作できる「0HPパターン自動焦点拡大複製器」(3個)と、教師の手作りを目標にした「OHPパターン拡大複製器」(3(2))を試作した。これらを使用してみたところ、大変便利なので、次に御紹介する。

 

二、拡大原理

この装置の原理は図1(1)に示すように、レンズの法則1)を利用したものであるが、使い易い機器にするために(2)のように平面鏡二枚を用いて、物体(原図)と像(パターン)が同一平面上にあるようにしたものである。

倍率nの変換は、式1)2)から3)4)5)が導かれ、これらから明らかなようにnの変化に伴い、固定したA(又はB)に対して、aとa+b(又はbとa+b)をそれぞれ与えられた式を満足するように変えればよい。

 

図1 拡大原理

 

三、構造・機能

 

三、構造・機能

(1)自動焦点型

図2に示すような構造とし、図1(2)における光軸を底面に四十五度傾け、したがって拡大ステージと原図載せガラスも四十五度の傾斜面となるようにしたものである(写真1)。原図に当てる光線光源には百W白熱電球二個を用い、この冷却のためにはランプハウスに開口部と排熱孔を設けてある。

次に焦点調節機構は以下のようにした。拡大ステージ(固定)からレンズまでの距離bの値は任意のnに対して(1+n)に比例するが、移動鏡の設定に関係する(a+b)の値の変化は式5)のとおり、 nについての二次式である。そこで図2及び図3に示すように、レンズをnに対応して引き上げる

 

図2 レンズ・移動鏡を中心にした機構と主要部

 

図2 レンズ・移動鏡を中心にした機構と主要部

 

 

 


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