教育福島0021号(1977年(S52)06月)-031page

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連動糸は断面が円である糸巻車(A)に巻き込み、移動鏡は断面がうず巻状の糸巻車(B)によって巻き込むようにした。

 

実用新案登録出願 四九-〇六七九八二

 

図3 糸巻車断面

 

図3 糸巻車断面

 

は連動して、拡大ステージ上に常に焦点のあった原図の拡大像を結ぶのである。

 

糸巻車(A)と(B)を同軸に固定し、二本の連動糸の長さを任意のnに対して式1)を満足させるように設定しておけば、ハンドルの回転によりウォームとウォームギャー(逆転防止を兼ねる)を介して糸巻車(A)(B)が一体となって回転し、任意のnに対してレンズと移動鏡は連動して、拡大ステージ上に常に焦点のあった原図の拡大像を結ぶのである。

なお温度・湿度による連動糸の長さの変化に対しては、微調整レバーによって張り車を作動させて、レンズあるいは移動鏡の位置を調整できるようにしてある。

 

図4 各部名称機構

 

図5 組織法

 

図5 組織法

 

(2) 簡易型

 

(2) 簡易型

図4に示すように箱型の本体と、本体にはめ込まれて摺(しゅう)動する抽出の組み合わせによって、前述の式1)を満足させるようにしたものである(写真左)。

 

図6 右の原図を拡大(×2)複製したもの

 

実用新案登録出願 四九-〇六七九八三

 

実用新案登録出願 四九-〇六七九八三

 

のものを利用したので周辺収差が大きいため、中心部二十ミリだけを使用した。

 

(1)と異なる点は(a+b)の値に対するbの値を拡大ステージ上の像を見ながら手動によって設定するもので、焦点合わせの動作が生じるが、(1)に比較して、1)材料費が約1/3、2)工作が容易、3)軽い、などの利点がある。本体は厚さー粍のアルミ板を用い、主として接着による組立である。レンズはf=200mmの拡大鏡のものを利用したので周辺収差が大きいため、中心部二十ミリだけを使用した。

レンズの移動には(1)と同様に鉄道模型のレールと台車を用いたが、戸車とレールの組み合わせでもよい。

また(1)に比してコンパクトであることを設計の要点としたので、光源ランプの発熱に対しては0.2Wの送風機を組み込み、強制冷却方式にしてある。

 

四、あとがき

図6は3(2)を使用して画いた作画例で、原図は「スケッチ辞典」-野ばら社-の百九十九ページである。

これらの機器が、先生がたのOHPパターン作りをより気軽にし、OHPがますます授業に活用されることを念願する。

〔附記〕

この研究は東京工業大学・教育工学開発センター長、末武国弘教授指導のもとに行ったものであり、昭和五十年三月、電子通信学会教育技術研究会において発表したものである。

 

 

 


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