教育福島0021号(1977年(S52)06月)-038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

福島県教育センターから

 

学校経営改善への取り組み

 

昭和五十二年二月の初旬から中旬にかけて、学校の経営・指導の活動等について校長先生の日ごろのお考えや、実践の様子など直接お聞きし、今後の研究の指針を得るため、県中・県南・会津・相双・いわきの六方部の小・中学校各一校を訪問した。(会津方部は小学校二・中学校一)

聴取内容についての細かいことは後述するが、訪問を終えての所感として各学校とも自校の実態を正確には握しそれに即した手だてを講じて学校運営を進めているという感を強く受けた。

更に今年度の学校経営は、昨年度の反省に立った学校経営改善への取り組みがみられ、事実改善した分野については着実に子供たちに成果が反映し、確実に実績があがっていた。いわゆる経営の「P・D・S」のサイクルであって、新年度の経営計画は一段と充実したものと推察する。

さて、訪問内容の概略を述べてみる。

 

一、学校経営について

(一)経営方針

「生徒指導の上に立った学力向上」「学力と体力」、「信頼される教師」「教育の結果に責任を持つ」、「児童の教育活動を中心とした学校経営」等、各学校とも焦点化された経営方針をたて、それぞれ実践に裏づけされたものであり、校長先生がたの教育に対する信念がうかがわれた。

(二)教育目標具現化の施策

教育目標具現化のために、学年学級経営の充実・教育活動の組識化など、各学校とも実情に応じたくふうが施されているが、総じていえることは、「具現化の方策を」教師一人一人に自分の問題としてとらえさせるような手だてと、その意識の高揚を図っていることである。

ある小学校では全教師に具現化の方策を持たせ(最近では自から進んで持つようになったという校長先生のお話でした)-それは教科指導であれ、校務分掌上の問題であれ、生徒指導であれ、自分はこうするという取り組み方を考えさせ、校長は個別にその解決策を指導助言するという方法をとっていた。その時の話し合いの記録を拝見したが、教師の経営参加の意欲はこのようにしてこそ育つものであることを痛感した。

また、大規模校の場合であるが、職員の共通理解を図るために職員間新聞を発行し、共同研究の効果的な運営を図っている学校もあった。

この職員間新聞は週刊であり、毎週土曜日に発行している。内容は学年主任会の報告、学校訪問時の指導事項の確認、職員旅行のたより等、一週間の学校内のでき事の紹介であり、この新聞によって職員間のコミュニケーションを深めているのである。一年分をまとめて冊子にする際に寄せられた校長の序文に、『………各個人が意志決定に関する必要な情報をすべて確保していなければ正しい判断はできない。ひたむきに努力する方向がまちまちでは組織体としての学校の成果があがるはずはない………』とある。

一口に共通理解を図るというが、現実には時間的制約、各教師の個性などからなかなか困難な問題である。特に大規模校ではなおさらである。この学校のように校内新聞を毎週欠かさず発行するという事はたいへんな仕事であるが、この積み重ねがあってこそ経営改善も実るのである。

しかし反面、「共通理解がなされるまで仕事を延ばしていいのか」といわれたある校長先生の言葉は、異なった意味で考えさせられるものがある。

(三)指導要領改訂に伴う学校裁量の時間の活用計画

現在、余剰時間の活用がなされているのは、一単位時間の常例外運用の場合であるが、教育課程改善による「学校裁量の時間」の運営も、各学校とも改善のねらいをじゅうぶんに生かして「つどいの時間」「はげみの時間」「ふれあいの時間」などと、各慎重に検討を図っている。

その具体的な内容、方法について大かたは、五十一年十月の県小学校長会の教育課程特別委員会報告にあるとおりであるが、この問題については移行措置もあることだし、今後の課題であろう。

 

二、現職教育-教職員の研修意欲を高めるための施策

「個人研究の重視」「教育機器の活用」「校内のふんいきづくり」「研修時間研修機会の確立」「共通理解」「責任分担の明確化」など、各校ともいろいろと施策を講じているが、研修時間の確保については一番苦心し、またそれぞれくふうを凝らしているところである。時間割の中で各教科ごとに空き時間を設け教科研究の時間に当てたり、一週の特定日を研修時間にするなど、実情に応じ研修時間の確保に努めている。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。