教育福島0021号(1977年(S52)06月)-039page
研究機会についても自主的な公開研究会の開催、校内低中高ブロック研究会、学年ごとの研究会を行うなどして研究意欲を高めている。また機会あるごとに講師の招へいに努めると同時に各研究会への出席を積極的にすすめている。
校内研究会にしても、指導案の検討は校長、教頭、教務が授業者を囲んで事前に必ず行うという方法を、当校長着任以来数年間続けているという学校もあった。
このように研修活動を盛んにするための条件整備については、各校とも積極的に取り組んでいるわけであるが、「研修時間・研修機会の確保充実と、研修意欲とは別である」という訪問校のある校長先生の言葉もある。つまり研修意欲というものは、本来は個人の意欲であって、教職として、専門職としての意識と自覚があってこそ条件整備も生かされるということである。
いかにして教師一人一人の研修意欲を盛り上げ、持続させ、一つの方向に収れんさせるか、そこが組織体の経営であり要は職場の人間関係に帰着するのであろうが、「学校の組織的運営機能の過程での、人間的要素の科学的分析」の面からの検討が近年重視されているのもそこに起因するのであろう。
昨年、当センターで「研修促進のためにとった条件整備」の状況を、県下小・中・高校三百四十校を対象として行った調査を参考までに掲げてみる。
(現職教育に関する調査・昭和五十二年度教育センター紀要掲載)
三、学年・学級経営
学年会の持ち方については、定期に開く、随時に開く、主任一任など各校多様である。また開催の時間も、放課後、時間割の中でなどこれまた種々である。いづれも学校の実情に即して処理している。
学年経営の中心は、各校とも教科研究に重点を置いており、学級格差をなくすことを目指している。各校とも充実した学年経営がなされており、いわゆる「自給自足学級」はないということである。学年学級経営と学校経営が機能的に組み合って、しかも学校経営が学年学級経営をバックアップしている。学年主任についてもラインシステムか、スタッフシステムかという二者択一でなく、両者を勘案し統合した方向でとらえ、学年間の責任と協力の体制が確立していた。
四、学習指導
学習指導について各校とも共通していえることはいかにして児童生徒一人一人の学習の定着をはかり、学力を高めることができるかということである。その手だてとして児童生徒の思考を促す指導過程の研究であり、個別指導の徹底・協力教授等さまざまな方法がとられ、多くの実践記録・研究資料を作成している。
学習の定着化については、家庭学習にまで意を用い、家庭における計画学習の推進や月別の各教科学習目標、各教科の学習要素一覧、学習の進め方、計画の立て方等を載せた「学習の手引き」といった小冊子を作り、生徒一人一人に持たせ、家庭学習のガイドとしている学校もある。
下の表はその内容の一部であるが、これを提出させて(担任の先生は一冊一冊実に丁寧な、そして勇気をふるい立たせるような言葉で朱書を入れて指導しているのである。
以上訪問についてその概略を述べてみたが、組織の効果的な運営について吉本二郎氏は次の四点を指摘している。
1、校務遂行における教職員の位置と役割を教職員に理解させる。
2、組織の無意味かつひんぱんな変更の排除。
3、組織の実質的活用への努力、適切な機会における交換。
訪問した学校の実績を拝見し、このことの重要さを確信したのである。
終わりに、学期末の忙しい折にもかかわらず懇切な御指導をいただき、かつ貴重な資料をいただいたことを、紙面をおかりして深くお礼申し上げる。
表1 研修促進のための整備条件(重点順に3個)
区分 1位 2位 3位 小 中 高 小 中 高 小 中 高 % % % % % % % % % 会議の整理 50.8 55.8 54.7 4.4 6.3 3.2 2.6 4.2 6.5 図書の充実 13.2 6.3 19.4 19.3 12.6 3.2 4.4 4.2 3.2 設備の改善 13.2 12.5 12.9 18.4 20.0 19.4 7.0 6.3 3.2 指導者招へい 4.4 5.3 16.7 14.7 9.7 11.4 7.4 視察派遣 2.6 3.2 6.5 26.3 17.9 58.0 24.6 17.9 19.4 行事改善 10.5 13.7 6.5 7.0 17.9 6.5 23.7 34.7 38.7 記録整備 3.5 1.1 7.0 5.3 25.4 20.0 22.5 その他 1.8 2.1 0.9 5.3 0.9 5.3 6.5
表2 学習プラン