教育福島0021号(1977年(S52)06月)-041page

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やさしい教育法令解説

 

職務専念義務の免除について

 

一、職務専念義務の免除の意義

地方公務員法第三十五条は、「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」。と定められています。これが職務専念義務といわれているものであり、公務員として当然のことを規定したものであります。

ところで、「法律又は条例に特別の定がある」場合には、服務の監督者(県立学校教職員にあっては県教育委員会市町村公立学校教職員にあっては市町村教育委員会)の承認を得て、その勤務時間の一部について職務に専念する義務を免除することができます。この制度が職務専念義務の免除といわれるものであります。

 

二、職務専念義務が免除される場合

職務専念義務の免除がなされるのは「法律又は条例で特別の定」がある場合であって、その例として次のような場合があります。

1、法律に基づく場合

(1)休職(地公法28条2・教特法14条)

(2)停職(地公法29条1)

(3)研修(教特法20条2・3)

(4)営利企業の従事(地公法38条)

(5)職員団体の適法な交渉(地公法55条8)

(6)在籍専従(地公法55条の二、1但し書)

(7)労働基準法に基づく免除

休憩・休日・年次有給休暇・産前産後の休暇・育児時間・生理休暇がありこれらは具体的には勤務条件として条例で定められてあります。

(8)災害救助(災害救助法)

(9)育児休業(育児休業法)

2、条例に基づく場合

職務に専念する義務の特例に関する条例に定められている場合で、その例としては次のような場合があります。

(1)研修、例えば認定講習会・夏季休業中の大学通信教育学部スクーリング等に出席する場合など。

(2)厚生に関する計画の実施に参加する場合、例えば互助会・共済組合主催の教職員レクリエーション事業等に参加する場合、公立学校共済組合主催の教職員人間ドック等に参加する場合など。

(3)特別に事由があって公務に支障がない場合、例えば夏季酷暑期間中における教職員の元気回復措置、妊娠中の女子職員の健康診査、通勤時間の緩和措置、運転免許証更新時の安全運転講習受講、成人病予防検診等の結果、要精密受検者が精密検査を受検するために病院等に赴く場合及び受検結果判定のために病院等に赴く場合などは、教育長通知によって職務専念の義務が免除されます。

(4)職務に専念する義務の特例に関する条例により、職務に専念する義務を免除する場合、例えば公民としての権利を行使する場合、職務に関し証人等として裁判所等へ出頭する場合などがあります。

普通、義務免といわれている措置はこの「条例に基づく場合」であって、服務の監督者の承認を得て職務専念の義務が免除されることをいっています。

 

三、職員が外国へ私事旅行をする場合の手続き等について

最近外国へ私事旅行をするため、職務に専念する義務の免除の承認を申請する例が多くなっています。この場合には、旅行の目的が職務の研修に関するものであるか、職員の資質向上に役立つ研修内容が豊富であるか、夏季休業等の期間に実施され校務の運営に支障がないか等について、検討して承認をする場合があります。外国へ私事旅行をする場合、県立学校の校長・職員は義務免によって行う時は、一か月前までに所定の書類を添えて県教育長の承認を受けて、市町村公立学校の校長職員は、三週間前までに旅行計画書を附して「外国旅行届」を、市町村教育長に届け出をしてから外国へ私事旅行をすることになります。

 

(注)文中略称を用いた法律名は次のとおりです。

地公法=地方公務員法

教特法=教育公務員特例法

 

 

 


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