教育福島0022号(1977年(S52)07月)-014page
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◇ クラブ活動の現状と対策
必修としてのクラブ活動の趣旨については、異口同音に賛成し、推進の必要性を述べているが、現実の問題として、「児童生徒の活動欲を満足させてやる施設用具が不足していること」「実技が指導できる適当な指導者が少ないこと」などをあげている。このことから趣旨においては賛成であっても、むしろ実施上の指導管理や運営においていろいろ困難な問題が生じているのが現実である。
必修としてのクラブ活動を発展させていく中で、最も大事にしなければならない点は、児童生徒の「興味」や「関心」であろう。したがって、学校としてはできるだけ、施設用具や教師を最大限に動員して、児童生徒の希望をかなえてやるよう努めなければならない。
一方、児童生徒が希望したクラブに加入できるということは、その後の児童生徒の自主的・自治的な活動意欲と重要なつながりをもってくることを考えなければならない。この面から、クラブ活動を効果的に指導運営するためには、児童生徒とともに、クラブ活動の意義を話し合い、現在おかれている当該学校の諸条件を理解し合った上でクラブを設置し、加入手続き、調整等についても考えられていくのがよいであろう。
また、指導者に関する問題として、体育的クラブは、活動が実技をともなうだけに、管理、運営面のほかに、実技指導ができることが望まれるが、クラブ担当教師に、急にこれを求めようとしても無理であろう。現実的には、この点が障害になっているので、これらを解消するため、中高校教師を対象にした「クラブ活動指導者講習会」が県教育委員会主催で、毎年開催されているので、積極的に受講し、指導者としての資質の向上に努めることが望まれる。
2) 部活動について
部活動をどのように考えていったらよいのか。また、必修としてのクラブ活動との関係はどうか等問題は多い。
部活動の考え方や実施についての傾向は、だいたい次のようである。
○ 「必修としてのクラブ活動が設けられているのだから、学習指導要領にない部活動は、行わなくてもよい」ということで、課外活動としての部活動を実施していないところ。
○ 「部活動は社会体育へ移行させた方がよい」ということで、課外活動としての部活動は行わないが、育成会活動や、スポーツ少年団等の組織をつくって、それらの活動として実施しているところ。
○ 「必修としての、週一単位時間のクラブ活動ではふじゅうぶんであるので、部活動を実施している」ところ。
◇ 部活動の方向
課外の運動部の活動については、昭和四十七年十二月二十日保健体育審議会の「体育・スポーツの普及振興に関する基本方策について」の答申において、「中学校及び高等学校における課外の運動部の活動は、一部の選手を中心としたものではなく、生徒の自発性、自主性のもとに、より多くの生徒が運動を実践し、親しめるようにすることに重点をおき、学校教育活動としてふさわしい範囲内において効率的に行うべきである」と指摘している。
心身の発達の著しい時期に、児童生徒の身体をきたえ、個性を伸ばし、適性、能力に応じた指導をとおして、学校の教育目標を達成していこうとするには、部活動が教育課程の中に位置づけられていないとしても、例えば、必修クラブとしては、設定が困難なものや、必修クラブ活動においての探究をさらに深めたいというものについては学校教育としてふさわしい範囲内において、課外としての部活動が当然考えられてよいと思われる。
したがって、このような場合には、学校の責任と管理のもとで計画され、実施されなければならないのはもちろんである。このような配慮のもとで実施される課外活動としての部活動は、おのずからそれなりの意義と性格をもっているので、社会体育として行われている、種々のクラブ活動とは、組織・運営・指導において異なるものと考えられる。むしろ、学校教育としての新しい部活動の運営や指導は、どうあったらよいかを検討し、育成していくことを考えてみてはどうであろうか。
◇ 社会体育移行への問題点
部活動を、社会体育へ移行しようとする問題は、教育論ばかりではなく、勤務条件の面からも生じている場合が多いようである。勤務時間の範囲内では、じゅうぶんな活動ができないということで、育成会なり、スポーツ少年団なりの社会体育の組織に代えて、活動している場合がみられる。
本来、このような組織の活動は、学校の責任を離れて、地域指導者のもとにおいて展開されるべきものである。
現実に、平日において、ある時間(勤務時間)を境に、社会体育へ移行するといっても、それは、同じ場所、同じ指導者、同じ対象、同じ方法で、何分か前の状態と何一つ変わらない状況で展開される場合が多い。というのも、このような時間帯において、指導に当たれる人は、ごく少数であって、普通の勤労者にとっては、むずかしいことである。
したがって、この時間帯に指導者を求めようとすれば、生徒と同じ時間帯で生活でき得る、当該学校の教員に求めざるを得なくなってこよう。このため、何一つ変わらない状態で、社会体育という名のもとに、部活動が行われているのが現状のようである。しかし反面、このような組織を学校内につくらなければ、児童生徒に運動を思う存分させられないところに、今日の問題と課題があるのではなかろうか。
また、今日、学校教育活動としての
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